所長は、トランプのジョーカーのような笑顔になった。
「ははは……これがわかるだろう? そして、どういう状況かも。 君は、もう終わりだよ」
彼は、かなり変な汗をかいている。
「そんなんで、本当に殺せるのか?」
俺の質問に、彼は大声で笑った。
「当たり前だろ! ここでは、私が法律だよ。 私の存在があるから、ここにいるブロイラーは生きていけるんだよ」
「…………」
「今まで、ここでどれだけの人たちが殺されたか。 どうだ、すごいだろ?」
「判ったよ。 いいから両親にあわせろ」
「あの人たちは、ここにはもういない。 この組織のトップになってしまったからねぇ。 ここのように、簡単には入れないよ」
俺は、舌打ちをした。 そして、どうすれば逢えるのかを考え始めた。
「なぜ、そこまでして逢いたいのだ?」
所長は、訊いてきた。
「復讐……かな? 子供の頃の仕返しをしたいだけだよ」
俺は、そう言うと、所長を押し倒した。
「お前には、もう用事は無い。 もう帰るわ」
きびすを返して、歩こうとした。
「だ~か~ら~、逃がさないんだよ」
俺の後頭部に、銃口が押し付けられた。
「ずっとさっきから言ってるだろう? もう終わりだよって」
彼の、ねっとりとした喋り方が、腹ただしくなってきた。 そして、振り返りながらむなぐらをつかんだ。
彼は、銃を俺の額に当てて、顔面の筋肉をすべて引きつらせて笑っていた。
「……バイバイ……」
そう聞こえた途端に、火薬の破裂する音が聞こえた。
全 無帰
