男は、この周りにいる人たちを、やさしい瞳で見ていた。
「ここに来る人たちは、普段、苦しみをかき消すためにここにきていたんだよ」
俺は、あまり、納得できなかった。
「本当は、心に傷を負った子供たちを助けるために、造られた施設のはずが、今は、ここまでいろんな人が来るようになってしまったよ。最近の世の中はどうなっているのかね?」
男の質問に、俺は答える気はしなかった。
「というのも、今は、本来ここにいた所長が、あそこに行ってしまったのですよ」
「……あそこというのは、もしかしたら……」
「君の言う ライヴストック というところだよ」
俺は、どのように言えばいいかわからなくなった。
「この前、所長から手紙がきたよ。かなりいい所だって言っていたなぁ」
「そこに行く方法は、どうしたらいいのだ?」
「それは簡単だよ」
そう言って、とある人物を教えてくれた。
「ついでに連絡をしておくよ」
そして、その場所も教えてくれた。
全 無帰
