送られてきた地図を確認して、足早に店に向かう。
到着予定時刻は、18時45分。
急いで仕事を片付けて立ち上がった俺に、松本さんがびっくりした顔をしていたけど、『お先に失礼します!』って、叫ぶように言ってオフィスを後にした。
このまんまのペースだとちょっと早いかな、と、歩くペースを落として、点滅している信号を無理して渡るのはやめて立ち止まる。
「あ.......」
十字路の斜向かい。
地下鉄の出口からでてきたその人を 俺の目が目ざとく見つけた。
さっき、信号渡っちゃえば良かったな.......
信号を渡る櫻井さんを見ながら、心の中で呟く。
櫻井さんを見つけてしまったら目が離せなくて、しょうもない賭けをしたくなる。
櫻井さんが、こっちを見てくれたら.......
櫻井さんのことを好きでいてもいい
櫻井さんが俺に気がついたら.......
櫻井さんのことを好きって言ってもいい
なんて、本当にどうしようもない。
あと数歩で信号を渡りきるってところで、櫻井さんがこっちを見た。
.......うそ.......
急に鼓動が早くなる。
なんで?
どうして?
信号の向こうで、すっごい笑顔で手を振っている櫻井さんに、俺も大きく手を振り返した。
隣で女子高生がビックリしてるけど、そんなのどうでもいい。
青信号に変わった瞬間にダッシュで信号を渡る。
「ちゃんと左右確認しろよ。轢かれんぞ」
「ちゃんと確認しましたよ、ちゃちゃっと!」
あははって楽しそうに笑って、櫻井さんが歩き出して、なにか言いたそうに俺を見てから首を傾げた。
「なに?」
「え?」
「相葉くんが、なにか聞きたそうだったから」
「.......え.......」
心臓がドキドキと音を立てる。
俺に気がついてくれたら、好きって伝えてもいい、なんてどうしようもないことを考えてたなんて言えるわけない。
「なんで、俺がいるの分かったんですか?」
なんでもないふうに口にしたのに、俺の言葉に一瞬、目を丸くした櫻井さんが、すごく優しい顔で笑うから.......心臓が口から飛び出しそうになる。
「相葉くんなら、そろそろ店に向かってるかなって思ってさ」
「俺なら?」
「ふふ、うん、そう。相葉くんなら」
ほら、邪魔になるから行こうって、櫻井さんが俺の腕を一瞬だけ引っ張って歩き出す。
その言葉にも、手にも、櫻井さんは大した意味も込めてないんだって知ってる。
知ってる、けど。
『相葉くんなら』って言葉が、どうしたって嬉しい。
だって、俺の事、ちゃんと見ててくれてるってことでしょ?
ためらいなく触れてくれることも、すごく嬉しい。
ほんの少しだけ前を歩く櫻井さんに、スキップするみたいにして追いついた。
「で?櫻井さんの聞きたいことってなんですか?」
「え?俺?」
「さっき、何か言いたそうじゃなかったです?」
「あぁ.......いや、大したことじゃないんだけどさ」
一瞬だけ俺から目を逸らして、また俺を見る。
「また、後でにするわ」
「ええ?!なんで?!」
「いや、ごめん。大したことじゃないんだって、ほんと」
「ええー!すっごい気になる!」
だから、大したことじゃねぇって!って言いながら、櫻井さんがビルの細い階段をのぼっていった。
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