もっと話していたいって思ったのに、道路は混んでいなくて、だいたいこのくらいで着くだろうって思ってた時間どおりに目的のショッピングセンターに到着した。
前を開けたままのコートから見える お揃いのセーターがやっぱりちょっと恥ずかしくて、コートのポケットに手を突っ込んで、あんまり前が開かないようにして歩き始める。
まずはケージから決めた方がいいかなって、お店の入口を入ったら、隣から驚いた声が聞こえて振り返った。
「うわ、すごいな。こんなにたくさんあるんだ!達也に一緒に来てもらって正解だったな」
名前で呼んでって言ったのは自分なのに。
修介さんの声で呼ばれた自分の名前に、胸のあたりからどきんって大きな音がして、また耳が、かぁって熱くなった。
修介さんが不思議そうに僕を見ているのが分かったから、六華ちゃんのケージを選ぶフリをして修介さんから視線を逸らす。
それなのに……
「どれ?これ?」
「そう、これこ……」
不意に聞こえた声に振り向いたら、すごく近くに修介さんの顔があって……
キリッと上がった眉毛。
優しいのに強い瞳。
その瞳に映った自分に、どうしようもない気持ちになって、慌てて後ずさった。
その拍子に、カートに思いっきり肘をぶつけて、その腕を修介さんの手が優しく掴む。
鼓動がどんどん早くなっていくのを笑って誤魔化すしか出来なくて、笑う。
だって、ぶつけた肘よりも胸が苦しくて、痛いんだ。
「ごめんな」
そんな優しい顔されたら。
そんな瞳で見られたら。
さっき、湧き上がった自分の想いを肯定したくなる。
その瞳に、僕だけが映ったらいいのに、なんて。
そんなこと、きっと、思っちゃいけない事なのに。
「修介さん?」
「あ?あぁ、ごめんごめん」
僕の腕を掴んだまま、黙り込んだ修介さんを不安になって見上げたら、気をつけろよ?って優しく笑って、僕の頭をくしゃっと撫でた。
「これで全部?」
「修介さんが必要なものは買ったし、僕が欲しかったものも全部買えたかな」
カートからトランクに荷物を移して、修介さんがドアを閉めてから、ちらりと腕時計を見た。
もっと一緒にいたい、なんて、ダメだよね。
小さくため息をついて顔を上げたら、困った顔で修介さんが僕を見ていた。
「達也、ごめん」
なにが『ごめん』なんだろう?
もしかして、彼女さんに呼ばれたとか?
「俺、腹減っちゃった」
「え?」
「早く目が覚めたのに、いろいろやってたら、朝メシ、食べ損ねたんだよ」
「えええー」
自分でもびっくりするわって笑う修介さんが可笑しくて、まだふたりで居られるのが嬉しくて、落ちかけていた心はあっという間に浮上する。
「このちょっと先にさ、美味い蕎麦屋があるんだって」
「行く行く!蕎麦好き!」
「ホントに?よかった!じゃ、決まりな!」
きっと、こんな風に修介さんといられるのは今日だけ、だから。
楽しそうな修介さんの笑顔を見て、嬉しいのに、ちょびっとだけ胸が痛んだ。