「……っふ……」
軽く触れて終わりにしようと思っていたのに、相葉くんが俺のキスに応えてくるから、どんどんどんどんキスが深くなっていく。
もうヤバいって、これ以上はヤバいって思うのに止められない。
息継ぎのために一瞬離れてまた、重なる。
カチンって歯がぶつかって、顔を見合わせて笑う。そこでようやく唇が離れて、水、持ってくるねって相葉くんが立ち上がった。
「明日、タラコ唇になってたらどうしよう」
俺に水の入ったグラスを渡して、自分もグラスに口をつけながら俺の隣にくっついて座る。
「ラジオで良かったな」
寄りかかってくる相葉くんを肩にのせたまま、グラスの水を一気に喉に流し込んだ。
「櫻井くん、酔ってる?」
「……いや、もう醒めた。相葉くんは?」
「俺も、醒めちゃった」
右側に感じるぬくもりが心地良い。
「あのさ、相葉くん……俺、フランスでの研修決まったんだ」
「え?」
右側のぬくもりが消えて、驚いた顔の相葉くんが俺を見つめてる。
「ずっと前に希望出してたのが、通ったんだ。来月からフランス行ってくる」
「え……あ……えっと……おめで、とう……」
「うん。ありがと」
「あ、コーヒー……いれてくるね」
ふいっと顔を横に向けて、立ち上がった相葉くんの手を握って引きとめた。
「それだけ?」
「それだけって……だって、行きたかったんでしょう?」
「うん、そう」
困った顔で俺を見下ろす相葉くんを見上げながら、言葉をつなぐ。
「寂しい?」
ぎゅって下唇を噛んで、俺から視線をそらした相葉くんの手を引きながら立ち上がった。
よろけた相葉くんが、ぽすって腕の中に収まる。
「待っててくれる?」
何も言わない相葉くんを抱きしめながら聞けば、ぎこちなく首が縦に振られた。
「待っててくれんだ?」
嬉しくなって、相葉くんを抱きしめる手に力を込める。
「……うん。待ってる」
相葉くんに回した俺の手をぎゅって握りながら、相葉くんが小さく呟いた。