時間が止まったような気がした。
全部の音が消えて、唇に感じるぬくもりと、目の前にある相葉くんの顔だけが俺の世界の全てで……
長いまつ毛が動いて、至近距離で相葉くんと目が合う。
くっついたままの唇が笑って、ゆっくりと離れた。
「……ごちそうさま」
くふふって笑って、離れていく腕を掴んだら、相葉くんがびくって身体を震わせた。
「……怒っちゃった?」
「いや……怒ってなんてないけど……なんで?」
「なんでって……」
困った顔の相葉くんが、黙り込む。
「意味が無いなら、勝手に解釈していいの?」
「勝手に解釈?」
首をかしげて、ますます困った顔になった相葉くんの腕を引き寄せた。
「俺にキスして欲しいって、言ったよな?」
「え……と……」
「仕事だって割り切れば、キスくらいはどうってことないって言ってたけど」
相葉くんの視線が泳ぐ。
「今のは、仕事じゃないよな?」
「あの……櫻井くん……」
顔、近いよって言う相葉くんを無視して、更に顔を近づけた。
「と、なるとこれは相葉くんの自由意志ってことで……
ただ単にキスに興味があっただけなのか、それとも、俺に興味があったのか」
「嫌だったんなら、謝るから……」
ますます困った顔になった相葉くんが、なんとか俺の手から逃げようと体を捩る。
「キスが初めてって訳でもないだろうから、前者は違うだろ?
それに、キスする前にされた質問……それを合わせて考えたら、答えは自ずと決まってくるよな?」
ニヤリと笑った俺に、相葉くんが不安そうな視線を向ける。
「キスしていいの?」
「……え?」
「俺にキスして欲しかったんだろ?」
「えっと……」
「今までどおりじゃいられなくなるけど、いい?」
「櫻井くん……何言ってんのかわかんな……」
二宮さん、ごめん。
心の中でそう呟いて、相葉くんの肩をぐいっと引き寄せた。