相葉くんと焼肉を食べに行った数日後、相葉くんの主演ドラマが決まったっていうニュースをワイドショーで見た。
ドラマ見るよってメッセージを送って、ありがとう!頑張る!って返事が来たのが、相葉くんと連絡を取った最後。
ドラマの撮影は時間が不規則って言ってたから、こっちからも連絡は取りづらいし、なんて書いたらいいのか分からなくて、結局、何もせずにメッセージ画面を開いて閉じる動作を繰り返した。
相葉くんと、距離を置いた方がいいかもって思っていた矢先……だったから、これでいいんだって思う反面、至る所に並ぶ相葉くんの笑顔に、やっぱり相葉くんは遠い存在なんだって思い知らされるようでココロが沈む。
めんどくせぇな、俺……
相葉くんの笑顔が並ぶ雑誌コーナーを横目で見ながら、いつもの新聞と目に付いた相葉くんの名前が書かれたスポーツ新聞を手に取って、レジに向かう。
さすがに女性用のファッション誌は買うわけにいかないけど、スポーツ新聞なら、買いやすい。
電車を待つ間に読もうと思って、広げたスポーツ新聞を慌てて閉じた。
「……うそだろ……」
後でゆっくり読もうって、丁寧にたたんでカバンにしまう。
「この相葉くん、めちゃくちゃ可愛くない?」
「友達からのプレゼントって、潤くんからなのかな?」
「えー、これ、どこのリュックだろ」
「このマグボトルは、あそこのでしょ?」
「あー、そうそう。ずっと使ってるやつだよね」
女の子達がスポーツ新聞を広げて、話しながら通り過ぎる。
彼女達が話してるのは間違いなく相葉くんの記事のことで……
一瞬だけ見た紙面には、俺があげたリュックを持った笑顔の相葉くんの写真と、『いちばんのお気に入り♡』って見出し。
ちゃんと、使ってくれてんだ。
『お気に入り』って、紹介してくれたんだ。
それだけで、沈んだココロがあっという間に浮上する。
いつもの新聞を広げて文字を追うのに、内容は全く頭に入ってこなくて、早々に新聞を読むのは諦めて、それもたたんでカバンにしまった。
見上げた中吊り広告にも、相葉くんの笑顔。
あの笑顔を曇らせるようなことは、したくないのに。
久しぶりの感情に戸惑う。
なによりも、その相手に戸惑う。
上向いた気持ちが、また沈む。
“Life is full of ups and downs.”
目の前に立つ女の子のトートバッグに書かれた言葉に、ホントだよなって苦笑した。