「ありがとう!めちゃくちゃ嬉しい!!」
「ちょっ……相葉くん……」
包まれたいいにおいは、相葉くんのにおい。
びっくりしすぎて、なのか、他の理由があるからなのか……どうにかなりそうな心臓の音がバレそうって、そんなふうに思ったら、また心臓が大きな音を立てた。
何回もありがとうって言いながら、ぎゅうぎゅうと俺を抱きしめる相葉くんの背中を汗が滲む手でそっと叩く。
「あ、ごめんね?すっごい嬉しくて、つい……」
恥ずかしそうに笑って、相葉くんがそっと離れる。
そんな相葉くんを見ているのがなんだか気恥しくて、やっぱり足元に視線を落とした。
「いや……俺が欲しかっただけだから。
相葉くん見てると、俺も頑張らなきゃなって思えてさ。
コンサート見せてもらった時も思ったけど、すげぇ努力して、すげぇ責任背負ってんのに、それを見せずに笑顔でいるって、さ……マジでかっこいいよ」
「……それは、櫻井くんも同じでしょ?」
「え?」
予想外の言葉に顔を上げたら、相葉くんがにっこりと微笑んだ。
「言ったでしょ、ストーカーだって」
「えぇ?」
「俺、あのホテルよく使うんだよ。仕事でも何回も行ったことあるし」
突然始まった相葉くんの告白に、おとなしくなりかけていた鼓動が、またどんどん速くなる。
「最初は、イケメンのコンシェルジュがいるなーって思って見てた。ホテルの顔だからやっぱりイケメンなのかなとか、そんなふうに思って見てたんだよ。
けどさ、その人、どんな人にも笑顔でものすごく丁寧に接しててさ……」
相葉くんが一瞬俺を見つめてから、視線を外して微笑む。
「めちゃくちゃなこと言ってる人も、すげぇイライラしてたり、機嫌悪そうな人もさ、その人と話してたら、最後はすごい笑顔で手を振って帰っていくんだ。
魔法使いみたいだなって思ってさ。
いつか、俺もあんな人になりたいって思うようになったんだ」
「……相葉くん……」
「だから、俺の方が先に、櫻井くんのファンだったんだよ」
くふふって笑って、また真面目な顔に戻る。
「……だから、あの日……
逃げるなら櫻井くんの所しかないって思ったんだ。
櫻井くんなら絶対、助けてくれると思ったの」
思わず相葉くんに伸ばしかけた手をぎゅっと握った。
……聞くんじゃなかった。
ごめん、二宮さん。
ごめん、相葉くん。
俺、きっと……今までどおりでなんていられない。
「相葉くん、早くメシ行こう。めっちゃ腹減った!」
「あ、うん。そうだね!行こ行こ!」
一瞬驚いた顔をしてから、俺に笑顔で応えた相葉くんの背中をそっと押して、部屋のドアを閉めた。