「あの後さ、家帰ってから思い出したんだ。って言うか、夢を見たんだけど」
「夢?」
チーズケーキとコーヒー、ココアが運ばれてきて、一度そこで言葉を切った。
「しょーくんは、カー子覚えてるだろ?」
「ん?あぁ……カラスの?」
「うん……けどさ、この間、秘密基地に行った時は、誰もカー子のこと言わなかったろ?」
助けたのはシロだけじゃなかったのに、どっちかって言うと、カー子の方がインパクトあったのにさって、話す俺をしょーくんがコーヒーを飲みながら見つめている。
「それって、なんでだと思う?
かずやしょーくんまで忘れてるなんて、おかしくない?」
「自分は忘れててもいいのかよ」
ぷはって吹き出したしょーくんがそう言って、唇に指をあててうーんって小さく唸った。
「あの時、木登りの話をしてたからじゃないかな?智くんが木に登って助けたのはシロだろ?」
「あぁ……そっか、そういう事?」
しょーくんの答えに、妙に納得してココアをひとくち飲んだ。
「あとさ、最近カラスが遊びに来るようになってさ……まさか、カー子だったりすんのかな、とかさ……わ、うま!」
チーズケーキを食べて呟いた俺に、しょーくんがにっこりと笑う。
「美味いだろ?って、俺が作ってるわけでもねーけどな」
しょーくんもチーズケーキを口に入れて、うんまって、嬉しそうに言った。
「カラスの寿命は、だいたい10年~30年くらいじゃないかっていうのは何かで見たことあるけどな。
もし、そいつがカー子だとしたら、かなり長生きなカラスってことになるけど……」
「じゃ、やっぱ、違うヤツかなぁ」
「智くんは、カー子が気になるんだね」
しょーくんの言葉に頷いて、ケーキをもうひとくち、口にいれた。
「なんでかな、わかんないけど……いや、わかんなくもないんだけど」
「何か心当たりがあるってこと?」
「や、そう聞かれると、違うような気もすんだけど……」
ケーキの上でしばらくフォークを動かして、止めた。
「まぁの目とさ、カー子の目がさ……似てる、ような気がすんだよな」
ちら、としょーくんを見たら、しょーくんは相変わらず穏やかに微笑んで俺を見つめていて
「確かに、雅紀の目って黒目がデカいから動物っぽいよなぁ」
って、頷きながら目を細めた。
まぁの話をする時のしょーくんは、いつもそんな顔してるって、すげぇ幸せそうな顔してるって、しょーくんは知ってる?
手に汗が滲んで、ちょっとだけ震えるから、フォークを置いて、履いていたジーパンで汗を拭う。
「……でさ、しょーくん……」
「ん?」
「しょーくんの守りたいものって、なに?」
一瞬だけ目を丸くして俺を見たしょーくんが、一段と優しく微笑んだ。