「おーし!懇親会始めるぞー!」
「え、ここで飲むの?」
午前中に仕事を終えた後、長野さんの号令で休憩室の中を覗いた櫻井くんが、びっくりした声でそう聞くからうんって頷いた。
「えーーーじゃあ、みなさん飲み物をお取りください」
「櫻井くんは、コーラでいい?」
「俺も相葉さんと同じの飲みたい」
「未成年でしょ」
僕の持っているチューハイの缶を見て、櫻井くんが口を尖らせた。
まだ、未成年なんだよね。
僕よりずっと年下なんだ。
長野さんに紹介された櫻井くんが『ども』って小さくお辞儀をして僕の背中に隠れるようにして、後ずさった。
「何してんの?」
「や、なんか恥ずかしい」
「くふふ、ほら、座って食べよ?」
席についた途端に、櫻井くんの周りに若い女の子達が群がった。
櫻井くんは、女の人と話すのが苦手だって言って、あんまりカウンターには近寄らないから、ここぞとばかりに女の子達が櫻井くんに話しかけてる。
女の子達が櫻井くんのこと話してるのは知ってた。
知ってた、けど。
僕なんかじゃなくて、女の子との方がって思ってるのに……
見ていたくなくて、聞きたくなくて、持っていたチューハイを喉に流し込む。
「食べてる?」
聞こえた声にも反応できずに、残り少なくなったチューハイの缶を一気に空にした。
朝から何も食べていなかったのを思い出して、しまったな、と思う。
「なぁ、なんか腹に入れてから飲めよ」
「こんなとこに居ないで、あっち行って来たら?」
違う飲み物の缶に手を伸ばしたら、腕を掴んで止められたけど、その手を払ってプルタブを開けた。
ほかの人のとこに行けって言ったのに、皿の上に食べ物を取り分けて、僕の前にずいっと差し出した櫻井くんがムスッとした顔で呟いた。
「俺は、相葉さんと話したい」
「なんで……?僕と話したって面白いことなんて、なんにもないよ?」
「それは、俺が決めることだろ。俺は相葉さんともっと話したいし、相葉さんのこと、もっともっと知りたいんだよ」
「……え……」
櫻井くんの視線が僕の視線を追って、『なぁ』って低く呟くから顔を上げて櫻井くんを見た。
睨むみたいにして、僕を見つめる瞳と目が合う。
「昨日、あのあと何してた?」
今まで聞いたことのない低い声に、ぶるりと身体が震えた。