「はー!美味しかったぁ」
おしゃれな店なんて知らなくて、まぁがしょーちゃんオススメのダイニングバーがあるんだってってスマホの地図を見ながら俺を連れて行ってくれた。
その店は、落ち着いた感じの店で、料理も酒もすげぇ美味くて、
「さすがしょーちゃんだよねぇ」
って、くふふふふって笑うまぁの背中をなんとも言えない気持ちで眺めた。
「今日、泊まり?」
そう聞いた俺を振り返って、バツが悪そうに笑うまぁ。
「さとちゃーーーん」
「なんだよ、もう」
「くふふ、ごめんね?さとちゃん、大好き」
「ん。酒、買って帰ろ」
「うん。おつまみもね。おやつも買っていい?」
「いいよ、なんでも。明日のメシも買わないと」
くふくふ笑ってる まぁが、するりと腕を絡ませる。
「酔っ払い」
「くふふふふ。だって、さとちゃんに会えて嬉しいんだもん。さとちゃん家にお泊まりだし」
俺より背が高いくせに、俺の肩に頭をのっけて歩くから、柔らかい髪の毛が首にあたってくすぐったい。
「歩きづらいって」
「やだぁ」
「置いてくぞ」
「やだぁー」
くふふふふって笑って、温もりが消える。
そっと手を伸ばして、俺よりも大きな手を捕まえた。
「ほら、ちゃんと捕まってろ」
「くふふ、うん」
指を俺の指に絡ませて、恥ずかしそうに笑うその笑顔に、胸がきゅんってする。
「こっち出てきて販売の仕事だとさ、超緊張するから、さとちゃんに会うとほっとしちゃうんだよねぇ」
電車で並んで座って、また俺の肩に頭をのせてまぁが呟く。
人懐っこい雰囲気だけど、本当は人見知りで、頑張り屋のまぁ。
繋いだままの手をぎゅって握った。
「頑張ったな」
「くふふ、うん」
「明日の朝メシ、フレンチトースト食いたいな」
「うん、いいよ。作ってあげるね」
誰も座っていない向かい側の窓に映るまぁと目が合って、まぁがふんわりと笑った。
その笑顔に、心臓がぎゅうってなる。
「さとちゃん……」
「ん?」
「おれね、さとちゃん……」
「うん」
「……」
「え?」
なんて言った?って横を見たら、まぁの長いまつ毛がゆっくりと動いて瞼が閉じていくところで……
俺もまぁの頭に自分の頭をくっつけて目を閉じた。