「ひでぇな」
俺を見下ろして、潤が呟く。
「嫌なら、やめよ」
赤いアトの残る身体を自分の腕で抱きしめて、起き上がろうとしたら、潤の手が俺の肩をそっと押し返した。
「嫌なんて言ってない」
潤の唇が首筋を滑っていく。
櫻井くんに触れた唇が、俺の身体をなぞる。
『そんなの、意味ねぇよ。
カラダは気持ちいいかもしんないけど、でも、ココロは?』
『相葉さんのココロはそれで幸せになれてんの?』
櫻井くんに言われた言葉が、頭の中で繰り返される。
意味なくなんて、ない。
触れられる温もりは、気持ちいい。
カラダが気持ちよければ、ココロなんてどうでもいい。
ココロなんて、満たされたと思ったって、また次、その次って、どんどん欲が増えて、満たされることなんてないんだから。
「あっ……」
潤の指が俺に絡んで、潤の顔が下がっていくのを、肩を掴んで止める。
「そんなの、しなくていいからっ……」
櫻井くんに触れた唇が、そこに触れるなんて……
「そ?」
にやりと笑った潤が、ゆっくりと俺のナカに入ってくる。
「っ……あ……」
「ホントにバカだな、お前」
ゆるゆると俺を揺らしながら、潤がぽつりと呟く。
「……っ、なに……?」
「バカは俺もか」
「何言ってんの?」
「何でもねぇよ。すぐ気持ちよくしてやるからな」
潤が動くスピードを上げて、カラダ中にキスを落としていく。
櫻井くんに触れた唇が、俺に触れる。
櫻井くんのにおいとは、違うにおい。
櫻井くんの声とは、ちがう声。
櫻井くんの腕とは、違う腕。
「さっ……」
勝手に零れた声に、どきんとした。
今、誰を呼ぼうとした?
俺の上で、動きを止めた潤の頬に手を伸ばした。
「さっさとしろって」
「ったく、とんだワガママ姫だな」
潤が口の片側だけを上げて笑う。
「気持ちよくさせてくれんじゃないの?」
「してやるよ」
「あぁっ……!!!」
潤の動きに合わせて、自分の声じゃないみたいな悲鳴が漏れる。
押し寄せる波に耐えきれず、カラダが震える。
何も考えられなくなる、この瞬間が好きなんだ。
ただ、それだけ。
何度目かの大きな波に飲み込まれて、俺の意識はそこで途切れた。