「良かったの?少年置いてきて」
ハンドルを握りながら、楽しそうに聞いてくる潤を睨みつけた。
「人といる時は、話しかけるなって言ったよな?」
「そうだったっけ?」
「……もう、潤とは会わない」
「櫻井くん、かわいいよね」
赤信号で止まった隙にドアを開けようとした俺に、潤がそう言って笑う。
「……なに?」
「櫻井くん、だろ?さっきの少年。ウチのコート着てたしな、俺もそのうち会うかもな?」
「……」
外したシートベルトのバックルをもう1度セットし直す。
その音を聞いて、潤がふんって鼻で笑った。
「あんなガキのどこがいいの?」
「そんなんじゃない」
櫻井くんにもらったブレスレットをセーターの上からぎゅっと押さえた。
櫻井くんとは、そんなんじゃ、ない。
ただ、ボランティアに来てくれて、俺のことを慕ってくれてる、だけ。
弟みたいで、可愛いなって、それだけ。
「やめとけよ」
潤の声が胸に刺さる。
「やめるって、何をだよ?」
「迷うなら、やめとけって言ってんだよ」
「だから違うって言ってんだろ?!」
そう言いながら振り返って、一瞬見えた潤の表情にどきっとした。
苦しそうな顔。
なんで?
でも、その顔はすぐに消えて不敵に笑う。
「さっさと、俺のもんになればいいんだよ」
「なるかよ」
潤が優しいのは知ってる。
見かけと違って、真面目なのも知ってる。
でも、俺は……ひとりでいい。
ただ、温もりが欲しい時に、誰かが隣にいてくれたらそれでいい。
見慣れたマンションのゲートをくぐって、車が停る。
専用のエレベーターに乗った瞬間に、抱きしめられてキス。
「んんっ!!」
どんどん深くなるキス。
それだけで、カラダが先を期待する。
冷えた潤の手が、セーターの下に潜り込んだ。
「じゅ……っ」
「えっろいな、お前」
俺の顎を掴んで、潤が笑うから
「えっろいのは、潤だろ」
誘うように笑ってやった。