「あひゃひゃひゃひゃ!砂だらけだね!」
「まぁーさぁーきぃぃぃー!」
ごめん、ごめーんって、しょーちゃんの腕を引っ張ろうとしたら、逆にぐいって手を引かれて、しょーちゃんの上に乗っかった。
「わ!ごめん!」
すぐに起き上がろうとしたのに、そんな俺をがっちり捕まえて、しょーちゃんが笑った。
「お前に転ばされるの、何回目だろうな」
「えっと……3回め、くらい?」
「お返し、な?」
次の瞬間、視界には俺を見下ろすしょーちゃんと、その向こうに満天の星空。
「最初は、そのまま海に放り込まれたな」
「俺、海パンじゃなかったのに、海に飛び込んじゃったんだよね」
「なんだこいつって、第一印象はサイテーだったよ」
「くふふふふ。ちょーチャラかったでしょ、俺」
「腹立つくらいチャラかったな」
しょーちゃんの砂だらけの手が、頬に触れる。
「じゃりじゃりだね」
「ん」
一年前はこんなふうになるなんて、思ってもみなかったよって、しょーちゃんがおでこに唇を付けながら言う。
「うん。でも、こうなることは決まってたんだよ」
なんでかなんて、分かんないけど。
あの日、しょーちゃんを見た瞬間に、俺の何かが変わったんだ。
初めて触れたいと
触れて欲しいと思った人。
俺の全部を受け止めてくれた人。
それがしょーちゃんで良かったって、心からそう思う。
「泣くなよ」
「ごめ……だって、なんか……」
なんて言ったら伝わるんだろう。
しょーちゃんなら、きちんと言葉に出来るんだろうか。
「さ、早く帰って風呂にしよ。パンツの中まで砂だらけだわ」
しょーちゃんが俺の腕を引いて、立ち上がる。
「明日は?学校?面接?」
「明日は……何もない」
「じゃ、一緒に部屋見に行こう」
「ええ?!も、もう?」
「善は急げって言うだろ」
「もしかして、もう不動産屋さん、予約済み?」
「えーーーと、うん。いや、俺ひとりで行くつもりではあったんだけど……やっぱ、雅紀の意見も聞いた方がいいと思って」
「しょーちゃん、行動早すぎ」
くふふふふって笑ったら、しょーちゃんが恥ずかしそうに笑った。