「今日は相葉くんだよね」
車に乗りこんで、マネージャーに確認してからノートパソコンを開いた。
ソロのコーナーと、プロデュースのコーナーと。
今回は、どんなアイデアが出てくるんだろう。
あんまり無理させんなよって、だいぶ前に翔さんに言われたけど……
けど、できるんだよ、アイツは。
出来ないって言わないし、マジで出来ないかもって思うことだって仕上げてくるから、どうしたってこっちの期待値も上がるんだよ。
『俺、寿命縮んだかも』
去年のコンサートと夏のアリーナツアーが終わったあとに翔さんがそう呟いてた。
全く怖くなかったかと言われれば、全然そんな事はなくて、俺だって怖かったけど…でも、相葉雅紀だぜ?
おバカキャラなんかじゃなくて、努力家で真面目で、運動センスだって、気配りだって超一流なんだ。
だから、なんだよな。
どんどんソロの仕事が増えて。
だからますます、嵐としての活動にも力を入れなきゃいけないなって思うんだ。
ソロでもいけど、やっぱ嵐の相葉雅紀が1番だなって思ってもらいたいじゃん?
「相葉さん、今日は5時集合でロケだったらしいですよ」
そうマネージャーに言われたから、寝てるかもしれないなと思って、控え室のドアを小さくノックしてそっと開けた。
ソファに座って、窓の外を眺める横顔に、どきんと心臓が跳ねる。
いつからだろう、相葉くんが綺麗になったのは。
ゆっくりと閉じられた瞼が、またゆっくりと開いて、俺を振り返った。
「あー、おはよう、松潤」
来たの全然気が付かなかったよーって、ふわりと笑う。
「眠い?大丈夫?」
「くふふ、大丈夫!美味いもんたくさん食ってきたし!松潤こそ、ちゃんと寝てんの?」
愛用の黒いマグボトルをテーブルに置いて、相葉くんがケツのポケットから紙を取り出して、俺の前に座った。
「あ、やっべぇ。しわくちゃになっちった」
一生懸命、手でシワを伸ばして、俺に差し出す。
「どうかな?」
「ん、いいんじゃない?」
「ほんと?よかったー!」
「細かいところはもっと詰めていかなきゃなんないけど、例えばここさ……」
うんうんって、真剣に俺の話を聞いていた相葉くんが、最後にふって、息を漏らした。
「『Are You Happy?』ってさ、聞くほうも幸せじゃないと、だよね」
黒いボトルに付いた傷の上を相葉くんの指が何度も滑る。
「なんかあった?」
「え?あれ?俺、変なこと言った?」
あひゃひゃって笑う笑顔に違和感を感じて、マグを触る指先にそっと触れた。