けたたましいエンジン音に、ビルから出てきた制服姿の子たちが、驚いた顔でこっちを見た。
一瞬で通り過ぎたそのビルの自動ドアには、『予備校』の文字が見えた。
大通りに出てから、ゆっくりと息を吐く。
胸が痛い。
パーカーの胸のあたりを強く握りしめた。
「見られちゃ困るヤツでもいた?」
「どういう意味?」
「さっきの金髪、違ったな」
楽しそうにそう言って、カーステのスイッチを入れる潤を睨む。
「金髪が違ったって、なに?」
「昨日の、金髪のガキ」
胸がキリキリ痛んで、変な汗が滲む。
昨日、潤も櫻井くんを見た……?
「何の話だか分かんないけど」
「あんなガキと比べられちゃ困るんだよね、俺」
「だから、意味わかんないって」
「調べんのは簡単なんだよ。どこの誰か。お前のことも、金髪のガキのことも」
指でリズムを取りながら、潤が言う。
「さっきからなんなの?もしかして、その金髪のガキのせいでキスマークつけたわけ?付けないって約束だったろ?」
「そんな約束、してたっけ?」
胸がキリキリ痛んで、変な汗が滲む。
昨日、潤も櫻井くんを見た……?
「何の話だか分かんないけど」
「あんなガキと比べられちゃ困るんだよね、俺」
「だから、意味わかんないって」
「調べんのは簡単なんだよ。どこの誰か。お前のことも、金髪のガキのことも」
指でリズムを取りながら、潤が言う。
「さっきからなんなの?もしかして、その金髪のガキのせいでキスマークつけたわけ?付けないって約束だったろ?」
「そんな約束、してたっけ?」
赤信号で止まって、潤が俺を見て笑った。
「……もう、いい。降ろして」
「降ろしてもいいけど、今日はカズの店、休みだぜ?」
ドアノブに手をかけて、止まる。
止みかけていた雨が、また強く降りだした。
「……約束破るヤツはキライ。無駄な詮索するヤツも。雨も、キライ」
「知ってる」
左手に、潤の指が絡まる。
ワイパーがせわしなく動いて、流れ落ちる水が街灯の光を受けてキラキラ輝く。
信号が変わって、潤の手が離れた。
「着替えは後ろにあるのでどうにかなんだろ?明日はギリギリまでウチにいろよ」
「どうせ最初からそのつもりだったんだろ?」
「お前だって、わかってて乗ったんだろ?」
「……そうだよ」
そう返事をして、笑う。
やっぱり、俺は俺だ。
今までも、これからも変わらない。
「暑いな…」
パーカーを脱いだ俺を見て、潤が満足そうに微笑んだ。