自転車をのんびり走らせて図書館へ向かう。
駐輪場に自転車を停めて、手ぐしで髪の毛を整えて、近くのガラスに映る自分の姿をチェックした。
「よし」
小声で自分に気合を入れてから入口に向かって、建物の中に入る前に、外から中を覗いた。
カウンターに座ってるのは、女の人と、おじさんと……
「いねぇじゃん」
ふんって、息を吐いて自動ドアに向かう。
とりあえず、昨日の席に座って、あの人が来るのを待とう。
そう思った、のに……
「おはよう、櫻井くん」
「おわっ」
入口を入ったところで後ろから声をかけられて、心臓が飛び出すかと思うほどびっくりした。
「くふふ、びっくりしちゃった?ごめんごめん」
今日も綺麗に笑いながら、その人は俺の肩をぽんって叩いてカウンターに向かう。
「今日は、生徒手帳 持ってきた?」
「あ、は、はいっ……」
慌ててリュックを肩から下ろして、生徒手帳とカードをお願いしますって差し出した。
「わ、櫻井くん、俺の後輩だ」
「え、マジですか?」
やっぱ、オトコなんだ。
いや、オトコだって分かってたけど。
ウチの学校の先輩なんだったら、間違いなく、オトコで……やっぱり、お兄さんなんだ。
いやだから、オトコだって分かってたけど。
「俺がいた時より、偏差値はだいぶ上がってるけどねー」
くふくふ笑いながら、パソコンに入力して、ちょっと待っててねって、奥に消えてから、プラスチックのカードを手にお兄さんが戻ってきた。
「はい、これ櫻井くんのカードね?あと、生徒手帳はお返しします」
「どうも」
「今日、時間ある?」
「え?」
「本だけじゃなくて、色々使えるんだよ、図書館って。ガイダンス聞いてみない?」
「お兄さんがしてくれるんなら、聞く」
「くふふ。相葉だよ」
「俺がいた時より、偏差値はだいぶ上がってるけどねー」
くふくふ笑いながら、パソコンに入力して、ちょっと待っててねって、奥に消えてから、プラスチックのカードを手にお兄さんが戻ってきた。
「はい、これ櫻井くんのカードね?あと、生徒手帳はお返しします」
「どうも」
「今日、時間ある?」
「え?」
「本だけじゃなくて、色々使えるんだよ、図書館って。ガイダンス聞いてみない?」
「お兄さんがしてくれるんなら、聞く」
「くふふ。相葉だよ」
お兄さんが、首から下げたネームプレートを俺に見せながら笑う。
「え?」
「お兄さんじゃなくて、相葉。相葉雅紀です」
「あいば……さん」
『相葉雅紀』その文字を頭の中でトレースして、自分のメモリの一番上に乗っけた。
「じゃ、まずは簡単に説明するね?」
カウンターの下からパンフレットを取り出して、相葉さんが俺を見てにっこりと笑った。