「ねぇ、しょーちゃん。もしも、さ……地球上にふたりっきりになったら、どうする?」
「は???」
2人だけの楽屋で、突然話し出した相葉くんを見つめる。
なんだろ。そんな映画やなんかを見たんだろうか。
「えぇと、それは……地球上に俺と相葉くん、ふたりっきりになったらってどうするかってこと?」
「うん」
なにやら、神妙な顔で頷くから、手にしていた新聞を畳んで、相葉くんに向き合った。
「そうだなぁ……人間がいないってこと?それとも、ほかの生き物も全部、いないってこと?」
「え?あー、人間だけ、かなぁ……」
相葉くんが首を傾げる。
「じゃあ、飯の心配はしなくてもいいか」
「え!メシの心配なの?!」
あひゃひゃって、相葉くんが笑う。
「いやいや、大事だろ?そこは」
「くふふ、うん。そうだね、大事かも。ご飯は作ってあげるよ?」
そう言って、目を伏せる。
そこが問題ないとすれば、残る問題は、なんだ?
「相葉くんと一緒なら、大丈夫な気がするなぁ」
「え?」
「なんでも、楽しそう」
「えぇー!なんか俺がおバカみたいじゃん、そんなの」
「そうは言って無いだろ」
不貞腐れた相葉くんの頭を、わしゃわしゃ撫でる。
細長い指が、俺の手を掴んだ。
少し長くなった前髪の下から、黒い瞳が俺を見上げて、心臓がどきんと音を立てた。
「……あいば……くん?」
「ふたりしか、いなかったら……しょーちゃんは俺のこと抱いてくれる?」
「だっ……?!」
絶句した俺を見上げて、にかっと笑う。
「なぁーんちゃって!しょーちゃん、すげぇ顔!」
あははははーって笑って、トイレ行こーって、楽屋から出ていく背中を呆然と見送った。
笑う前に、見せた表情は、なんなの?
「バカだろ、翔くん。さっさと追いかけろ」
「うぉおおおっ?!」
背後から顔を出した智くんに、ビックリして椅子から落ちそうになる。
「さっ……智くん?!」
「早く追いかけろよ、翔くん。相葉ちゃんのこと、泣かせんな」
ぎろりと睨まれて、反射的に立ち上がる。
相葉くんが、泣いてる?
そう思うだけで、落ち着かなくて、急いでドアを開けてトイレに向かう。
相葉くん、俺さ……
世界でふたりっきりにならなくたって、きっと。
「相葉く……」
「わぁ!しょーちゃん!えっち!」
「わ、ごめん!」
「もう!トイレだって言ってんじゃん!」
「ごめんって」
謝ったあとに、顔を見合わせて爆笑する。
キミと一緒なら、なんでも楽しいんだ。
キミと一緒なら、どこだっていいんだ。
キミと一緒なら、トイレだって、さ……
「ありえないでしょ」
「うん。ごめん」
思わず抱き寄せてキスした俺を、笑いながら睨む。
トイレでキスとか、我ながらありえないだろって思うけど。
「世界でふたりっきりじゃないけど、抱いていい?」
「バカじゃないの、しょーちゃん」
だって、キミと一緒ならどこだってトクベツな場所になるって、俺は知ってるから。
「世界でふたりっきりじゃないけど、抱いていい?」
「バカじゃないの、しょーちゃん」
だって、キミと一緒ならどこだってトクベツな場所になるって、俺は知ってるから。
くふふふふって笑うキミを、もう1度腕の中に閉じ込めた。
