「しょーちゃん、今日さ……清水さん……この間の子と会った?」
雅紀の家の近くのスーパーで、白菜を取りながら雅紀が言った。
「あー、タクシーの人って言われたけど……逃げた」
「逃げ……」
雅紀から白菜を受け取ってカゴに入れながら答えたら、雅紀が驚いた顔をして俺を見たあとにぷって吹き出した。
「捕まったらめんどくさそうだったから……なんか言われた?」
「うん。しょーちゃんのこと、ちょーかっこいい!って言ってたよ?」
「そりゃどうも」
しょーちゃん、貝好きだったよね?って言いながらアサリとホタテをカゴに入れて、雅紀が俺を見上げた。
「嬉しくないの?」
「興味無いやつから好かれても、嬉しくもなんともねぇよ」
むしろ苦手なタイプだしって、もうひとつホタテをかごに追加した。
「……じゃあ、俺は?」
「あ?」
「あ、ごめん。何でもない!」
顔を上げた俺から目をそらして、お肉はどうしようかなーって言いながら背中を向けた雅紀に、一歩近付いた。
「嬉しいよ?」
「……え?」
「お前に言われたら、嬉しいよ」
「……え……あの……」
手に持っていた肉のパックを取って、赤くなった雅紀の頭をぽんぽんって優しく叩いてから振り返る。
「買うもの、こんだけ?」
「あ……うん。あとは……しょーちゃん飲みたかったら、なんかおつまみとかお酒とか……」
「雅紀は?アイスとかオヤツとかいらねぇの?」
にやりと笑って言えば、もう!って笑顔になって、俺の肩をぺちって叩く。
「子供扱いしないでよ!俺だって、もう少ししたらお酒飲めるんだからね?!」
「はいはい」
「もー!でも、アイスは食べるっ!」
たっかいやつ、買ってもらおー!ってアイス売り場に走っていく背中を笑いながら見送った。