独特な熱気に包まれた会場に、ここにいていいのか?って気分になりながら、松本の隣の席に座る。
「学祭っていってもなかなか本格的だよね。
これ全部、学生がやってるんなら、なかなかの企画力だよなぁ……」
松本の言葉に、本当にそうだよなって感心する。やっぱり才能があるってのはすごい事なんだなって改めて思わされる。
音楽が変わって、照明が落ちて、どこからともなく拍手がおこる。
最初に出てきた2人の影に息を飲んだ。
ふわっとしたドレスに、細長いフロックコートの影。
「……あ、あれ……」
松本が驚いた声をあげる。
「へぇ……!スタイルいいんだな!」
「脚、なっが!」
二宮も驚いた声を上げた。
……ショーに出るなんて聞いてない……
心臓が大きく脈打って、変な汗が滲み出た。
腕を組んで歩く2人が眩しく見えて、目を逸らす。
ほら、やっぱりさ……お前の隣にはそういう可愛い子がいた方がいいんじゃないかって思うんだ。
俺なんかじゃなくて……これからたくさんの出会いを重ねて、きっと、この人だって人に出会うんじゃないか?
俺が隣にいたら、そんな未来を潰してしまうことにならないか?
そんなことを考えて、だから石橋を叩きすぎとか言われんのかって、自嘲する。
俺たちに気がついて小さく手を振る雅紀に、手を振り返しながら、小さくため息をついた。
次々と出てくるドレスは、個性的なのが多くて、おっさんにはわからねぇなって呟いた松本に、潤くんに言われるなんて!って二宮が切り返したのが聞こえて吹き出しそうになった。
「なぁ、サク……相葉くんが作ったドレスってどれ?」
「いや、まだ……だと思う……」
ドレスは見てないけど、ティアラは知ってる。
ドレスも、きっと見たら雅紀が作ったものだってすぐに分かる気がしてる。
「あー、相葉くんいなくなっちゃったな」
松本が残念そうに呟く。あんだけスタイル良かったら、ちょっと身長低いけどモデルやっていけるよなって、力説してる。
「おっ……なんか今までと違うな、次は」
次にステージに出てきた花嫁に、松本が嬉しそうに呟いた。
「雅紀……だ……」
「え!これ?相葉くんの?」
松本が二宮にこれ、相葉くんのだってって、言っているのが聞こえる。
細身のラインのドレス。肩から薄い生地が垂れ下がって、花嫁が歩く度にヴェールとは少し違う動きでゆらゆらと揺れる。
ドレスの上半身部分には、ティアラと同じ、葉っぱや鳥の刺繍がされていて、ヴェールにも同じ刺繍がされていた。
こんなの、作ってたのか……って、言葉をなくした。
ヴェールを下ろして、うつむき加減に歩く花嫁と、何故か目が合った。
「……あ……」
俺を見てふわりと微笑んだ花嫁が、長い裾を引きながらステージの奥へ消えていった。