最初にCGが見たいって松本が言って、二宮は相葉くんのショーの時間まであんまり遠く行くの嫌だから、潤くんとこっち見てるわって松本について行った。
「まっすぐ行って、右側……ここか」
美術展って書いてある矢印を辿って、部屋に入る。
部屋じゅうに飾られた たくさんの絵。
その中の1枚に、惹き寄せられるようにして部屋の中を進む。
大きなカンバスに等身大の人物が描かれた油絵。
近づくほどに、惹かれる。
絵の中に入り込んだみたいな不思議な感覚。
明るい色の髪の毛。
細い背中。
うつむき加減の横顔……
見慣れた顔のはずなのに、知らない顔。
左肩にあるのは、なんだ?
この間見た時には描かれて無かったよな?
花びらみたいに、羽根みたいに広がる、赤い模様。
「触っちゃダメだよ」
突然聞こえた声に、驚いて振り向く。
「……おおの、くん……」
途端に耳に入る周りの音。
無意識に絵に伸ばしていた手を慌てて下ろした。
「まだ、乾ききってないから、絵の具ついちゃうよ?」
んふふって、笑う大野くんに、なんて言ったらいいのか分からなくて、戸惑う。
「大野くん……これ……」
「うん。まーちゃん、だよ」
「こっちも?」
「うん、そっちも」
中くらいのサイズのパステル画。
空を仰ぐ横顔は柔らかく微笑んでいて……
白と黒。
光と影。
対になる、ふたつの絵。
ふたりの雅紀。
「気になるなら、本人に聞けばいいんじゃない?」
大野くんが俺をまっすぐ見つめて言う。
「俺から話せることは何もないよ」
「大野くん、俺……」
大野くんがふにゃんって急に笑顔になる。
「それよりさ、時間いいの?」
「え?時間?」
「櫻井さん、その絵の前でだいぶ長いことフリーズしてたよ?俺、まーちゃんのショー見に行くから、もう行かなきゃ」
じゃあねって、くるりと向きを変えた大野くんの背中にはっとして、腕時計に視線を落とす。
「……まじか!
大野くん待って!俺も行く!」
慌てて大野くんの背中を追いかけた。