「翔やん、マジでバスケに入んの?」
一限目の講義室で、隣に荷物を下ろしながらニノが言う。
「んー?うん……マネージャーだけどね」
「あー。バスケやるわけじゃなくて、ね?でもさ、相葉さんにだいぶ気に入られてたよね、翔やん」
はいどうぞって、昨日、相葉さんの家で見たバスケの雑誌を渡された。
「なに?」
「それ、大野さんがくれたの。翔やんに見せてやってってさ。相葉さん、すごい人なんだね」
「……」
「モデルみたいだしね」
ページを開いて、ニノも横から覗き込んだ。
「翔やんもだけどさ……もったいないよね」
「なにが?」
「期待されてるのに、プロにならない……なれないってさ」
「俺のことはいいだろ」
「うん。ごめん。余計な事言った」
「お前はどうなんだよ」
「俺?俺はもともとプロは無理って分かってるから。子供の頃みんなが言ってたくらいのレベルだからね?野球は好きだけどね。」
それにアスリートより医者の方が安定してるしねって、綺麗にウィンクをキメる。
相葉さんのウィンクを思い出して、思わず吹き出した。
「……なに?」
「いや、ニノじゃなくて……」
スマホが震えて、新着のメッセージが表示される。
「昼休み、さ……また1号館の食堂行こ?」
「なに?また相葉さんから呼び出し?」
「うん。こればっかりは説明するより見た方が早い」
まだ笑ってる俺を怪訝そうにニノが見上げる。
「なんなの?」
「大野さんもいるってよ」
「大野さん関係ないでしょ」
「いや、マジで一見の価値はある」
「違ったらジュース奢りね?」
「分かった」
開いたままのページの相葉さんをもう一度眺めてから、テキストの間に折れないように雑誌を挟んでカバンにしまった。