「しょーちゃんは無難なの選びすぎなんだよ」
「いやいや、もう若くねぇんだからいいんだって」
かっこいいからなんでも似合うのにって、雅紀がぶーって頬をふくらませる。
結局、雅紀が持ってきた服の中からボーダーのサマーセーターとチノパンを選んだ。
「あ!パンツも買わなきゃだよね!」
突然出した大声に、俺も、近くを歩いていた子供を連れたお母さんも、雅紀を振り返った。
「声がでかいって!」
「パンツはー、あ!あっちだ!」
「だから、声デカイって!」
ぱんつぱんつー!って歩いていく雅紀を追いかけて、恥ずかしいやらおかしいやらで笑えてくる。
「しょーちゃん、これかわいい!」
パンツ売り場で雅紀が手に取ったのは、ネコがたくさん描かれてるパンツ……
「俺は、履かねぇぞ?」
「えー!かわいいのに!じゃあ、これは?」
次に手に取ったのは黒地にピンクのヒョウ柄のパンツ。
「……ぜってぇ履かねぇ……」
もー、パンツくらい冒険しなよ!誰も見ないんだしさって、笑ってから
「……見せる人、いるの?」
って、急にしょんぼりして俺を見上げる。
なんだ、この罪悪感……
「いや、見せる人なんて1人もいねぇけど、けど、それはぜってぇ履かねぇかんな!」
いないんだー、そっかーって、くふふふふって笑ってまた、パンツを物色し始める。
いや、俺のパンツだよな?
ここにある、黒とグレーとかのパックになってるやつでいいんだけど……
「あ、ダメだよ!しょーちゃん!
パンツは今日と明日のお礼に俺が買うから!」
オシャレなやつにしよ?って、手に持ってたパンツを俺に見せる。
「赤と緑、どっちがいいー?」
黒地に、たくさんのハート。
ブランドものの、おしゃれなパンツ。
派手すぎねぇか……
いや、でもせっかくの好意だし。
誰も見ないんだし。
「俺のイメージだと、しょーちゃんは赤!」
「じゃあ、赤で……」
じゃあ、俺みどりー♡って、るんるんレジに向かう背中をなんとも言えない気分のまま見送った。