「……どうして来たの?」
「橘からメールが来たんだよ。一緒にいたら襲っちゃうかもしれないから誰かメンバーよこせって」
「橘くん、いい人だね」
「当たり前だろ?俺の友達なんだから」
潤がウィンクしてから運転席に乗り込んだ。
「で?どこに送ればいいわけ?」
「……しょーちゃんのとこ、連れてって?」
「……分かった」
ごめんねって心の中で言う。
俺は、狡い。
ビルの明かりの上の四角い空を見上げる。
真っ黒だと思っていた空に、星が光る。
星なんて、見えないと思っていたのに……
「あのさぁ、まぁ……」
前を見ながら潤が俺を呼ぶ。
「なに?」
「やっぱり知っててほしいから、言うわ」
「なにを?」
「まぁのどこが好きか」
「……潤……?」
「俺、いつも笑顔で、何事にも全力投球で、人のことばっかり気にしてて、誰にでも優しくて……そんなまぁも好きだけど」
ウィンカーを出して左車線に合流する。
「翔さんの隣で笑ってる まぁが好きなんだ」
「え?」
「だからさ……笑っててよ、翔さんの隣で」
「……じゅん……」
「今のまぁは、好きじゃない」
……俺は、なんて答えたらいいんだろ。
答えが見つからないまま、しょーちゃんのマンションのエントランスで潤が車を停めた。
「ぶつかって来いよ、ちゃんと」
ハンドルに凭れて笑う潤は、いつの間にかオトナのオトコで。
のろのろと、車を降りた俺に、あぁそうだ、って声をかける。
「伊藤さん、共演NGにするってさ」
「え?」
「何でだろうね?」
それだけ言って、じゃあねって、窓を閉めて走り去った。
伊藤さんって……まさか、しょーちゃん?
……まさか、だよね?
震える指でしょーちゃんの部屋の番号を押した。