カズさんの家からの帰り道、繋いでいた手をぎゅって引っ張った。
「ん?」
しょーちゃんが、優しい顔で振り返る。
「俺、今まで人を好きになるって楽しいしかないと思ってた。
ドキドキして、顔みたら嬉しくて…
でも、違うんだね。
切ないも悲しいも苦しいも、全部ひっくるめて『好き』なんだね」
俺の手を握り直して、しょーちゃんが笑う。
「ムカつく、もあるな」
「え?」
「お前がいちいち可愛すぎてムカつく。
ほかのヤツと仲良さそうにしてると、ムカつく」
「もぅ!しょーちゃん!俺、真面目に話してんのに!」
「俺も至って真面目ですけど?」
むーって、見上げたら、眉毛を八の字に下げて笑う。
「そういうのも全部ひっくるめて『好き』なんだよ。何事も楽しいだけじゃ続かねぇんだって。」
そうかなって、俯いた俺の頭に、しょーちゃんの手が乗っかって、指が俺の髪の毛の間をするする滑る。
「……カズさんなら、大丈夫だよ」
聞こえたしょーちゃんの声に顔を上げた。
「カズさんと…智くんは、大丈夫」
「しょーちゃん?」
「ずっと近くにいたんだ。気がつくよ、俺だって」
しょーちゃんが、俺の手を引いて歩き出す。
「先生に言われたんだ。お前も海外狙ったらどうだ?って。名前は出してなかったけど、海外の有名大学に進学できるって言ったらカズさんくらいしかいねぇだろ」
「……え……しょーちゃん、海外に行っちゃうの?」
どくんって、心臓が嫌な音を立てた。