ふたり並んで座って、電車に揺られる。
電車が揺れて、足がぶつかる度にくふふって笑う。
「なんだよ」
「なんでもない」
くふふって、また笑う。
「お前の時計もかっこいいな」
「うん。これ、じぃちゃんからもらったの」
見せてって手をとって、自分の左手と並べる。
俺のと雅紀の、同じようなふたつの時計の秒針が同じ速度で時を刻む。
「…これ、ホントに雅紀が修理してくれたの?」
「うん。全部、やらせてもらいました。ありがとう」
「なんで?俺の方こそありがとうだけど」
「俺が修理したのって、心配じゃない?」
「いや、すげぇなって思うけど…」
雅紀がそっと、俺の時計に触れた。
「これからずっと、素敵な時間になりますようにって思いながら修理したの。じぃちゃんはいつもそうしてるんだって」
ちょっと恥ずかしそうに笑う横顔に顔を近づけた。
雅紀がそう思いながら修理してくれたんなら、それはきっとそうなるって、自然に思える。
「これからも、ずっと一緒に、だろ?」
耳の近くで小さな声で、言う。
「…え?」
「…2回も言えるか」
きょとん、とした顔をしてまた、くふふふふって、笑う。
今はまだ、きちんと言えないけど。
お前に追いついて、追い越したら、何度でも言うから。
「降りるぞ」
「ちょ!しょーちゃん!」
雅紀の手をぎゅって握って、電車を降りた。