予鈴が鳴って、しょーちゃんがそっと離れた。
「遅刻するな」
「うん。遅刻、しちゃうね」
恥ずかしくて顔を上げられなくて、しょーちゃんの腕をぎゅってつかんだままで、言う。
行かなきゃいけないのに、行きたくない。
「鍵、智くんに返しておいてくれる?」
「…うん」
そんな顔すんなよって、くしゃって、しょーちゃんの手が俺の髪の毛を撫でた。
そんな顔って、どんな顔なんだろ。
しょーちゃんが、俺の手からするりと腕を抜いた。
うん、そうだよね。
もう、行かなきゃ。
しょーちゃんから離れようとした手を、しょーちゃんの手が捕まえて、ぎゅって、指を絡めて引っ張られた。
「しょーちゃん?」
「行くぞ」
しょーちゃんに引っ張られて、生徒会室を出る。
生徒会室のドアを閉めて、鍵をしめてる間もずっと、俺の右手はしょーちゃんの左手に繋がったまんまで…
みんなに、見られちゃうよ?
先生とか、先輩とか、友達、とか…
…いいの?
恥ずかしい、けど、嬉しい。
きゅって、力を入れたらぎゅって、握り返してくれて、それが嬉しくて、ふふって笑う。
「サクショウ、おはよぉ。相葉も。朝から仲良しやな」
後ろから声をかけられて、びっくりして手を引っ込めようとしたら、ぎゅって、強く握られた。
「はよ」
「お、おはようございます」
何か言われちゃうかもって、思ったけど…
横山先輩はすごく優しい顔して笑って、急がんと、遅刻やで~って、しょーちゃんの肩をぽんって叩いて歩いて行った。