「橘くんって、面白いね」
「え?なんで?」
「ヒトの恋愛なんて、ほっとけばいいじゃん」
ぐるぐる、パスタをフォークで巻く。
...全然、美味しくなんて、ない。
「いやだってさ...ほんとに酷いんだよ、アイツ」
清純派だの、正統派女優だのって言われてるけどさって、ワインのグラスを一気にあけた。
「俺と付き合い始めてすぐにさ、事務所の先輩に紹介してくれって言うからさ、ちょうど事務所のパーティがあったから、連れて行ったわけ...そしたらまぁ、次から次へと...」
誰彼構わず、ハイクラスなオトコには、ほいほいついていくんだよ。俺は、完全なる踏み台だったってわけ、って、またワインを飲み干した。
「ちょ、ペース早くない?」
「あーだいじょぶ、だいじょぶ」
ひらひらと、手を振って、それにしても、さ…って、言葉を続ける。
「櫻井くんは、カノジョのお眼鏡にかなったってことだよなぁー…
ルックスも家柄も知名度だって、申し分ないもんなー...」
一旦言葉を区切って、意味ありげに笑って俺を見る。
「...でも、櫻井くんは、カノジョのどこがいいんだろうね?」
俺は食べるのを諦めて、フォークを置いた。
「...知るかよ、そんなの...」
しょーちゃん、ごめん。
オススメのペスカトーレだったけど、美味しかったって、言えないや。
「まー、天下の『嵐』の櫻井翔、だもんなー。これ以上の獲物はいないかー!
勝ち誇ってんだろうな、今頃。
でもなぁ、どんな手を使って近づいたんだろ?
櫻井くん、そういうとこしっかりしてそうなのにね?
後は、逃さないために何を企んでるのか、だよなぁー…」
テーブルの下で、左手をぎゅっと握りしめた。
そんなこと、させない。
絶対に、許さない。
グラスの中のワインを一気に飲み干した。