「うまそ!」
潤が相葉くんの弁当を覗き込んで言うから、俺と二宮さんもテーブルに身を乗り出した。
「これ、自分で作ってんの?!マジで?!」
「わー、もう、女子よりも女子じゃん」
弁当箱の中は、ホントに普通に弁当で...
おにぎりすら握れない俺には、これを朝から作るとか、信じられない。
「まっつんは、朝弱すぎだから」
そう言った二宮さんの前で、潤が肩をすくめてみせる。
確かに、潤の朝の機嫌の悪さはなかなかのもんで、中等部の生徒会でも、サッカー部の朝練でも周りがピリピリするくらいだった。
「コイツ、ほんとにひどいからね、朝。めっっちゃ機嫌悪いのよ」
「そういう二宮さんだって、朝はダメじゃないですか」
お、潤が反撃に出た。
二宮さんも朝は起きてんだか起きてないんだかわかんないような、死んだ目をしてることが多くて...でも、それでも人の話はちゃんと聞いてるし、的確な指示を出せるのがすげぇなって、思うとこなんだけど...
「俺はね、夜中忙しいから仕方ないの」
楽しそうに二宮さんが言う。
「夜中に、忙しいんですか?」
「そ、夜中忙しいのよ。世界を相手にしてるからね!」
素直に聞き返してくれた相葉くんに、ニコニコしながら二宮さんが答える。
夜中忙しいって...世界を相手にって...
適度にやって、寝りゃいいじゃんって、言いたくなるけど...
「俺さ、天才ハッカーだから」
予想外の言葉に思わず吹き出した。
「わぁ!ちょ!きったねぇな、翔やん!」
「二宮さんが変な事言うからじゃん。ごめん、相葉くん、かかんなかった?」
「大丈夫、です」
相葉くんが笑いながら、言う。
危ねぇ!ホントに危ねぇよ!
相葉くんの弁当が、悲惨なことになるとこだったじゃねぇかよ!
...でも、そしたら、弁当とオムライスとトレード...できたかな。
って、そういう事じゃないって...
取り敢えず、机の上をきれいにしようと思って、ティッシュを探しだした俺に、どうぞって、相葉くんがティッシュを差し出した。
「...おま、マジで女子力ハンパないな...」
ティッシュなんて、たまにポケットに突っ込んで、いつの間にかぐっちょぐちょになって、使えなくなって、そのままゴミ箱直行で...その後、補充なんてしたことねぇし。
「花粉症だから、必需品なんです」
「え、じゃあ使っちゃダメじゃん」
差し出されたティッシュを返そうとしたら、また、にっこり笑う。
「あ、鼻をかむのは柔らかいティッシュなんで、大丈夫です」
「「は???」」
二宮さんとハモった。
花粉症でティッシュが必需品、で...
鼻をかむのは柔らかいティッシュ??
ティッシュに、柔らかいとか、あんの?
言われてみれば、そんなCMを見たことがあるような気がするけど...
「あー、わかる。柔らかティッシュ、必要だよなー」
俺も花粉症だから、わかるわって潤が言うのが、なんか面白くなくて、相葉くんからもらったティッシュで、汚れた机の上をゴシゴシ拭いた。