「先輩、あの人、誰ですか?」
並んで坂道を登りながら、相葉くんが聞く。
「あぁ、生徒会長の二宮さん。昨日は熱出したとかで...急遽、俺が代表挨拶したけど、ホントなら二宮さんがやるはずだったんだよね」
「え、先輩...昨日の挨拶、急遽、だったんですか?」
すごいちゃんと喋ってた気がするけどって、つぶやいた相葉くんの頭をペチって叩いた。
「お前、人の話聞いてなかっただろ?」
「ちゃんと覚えてはいないですけど、色々話してたのは聞いてました~」
「覚えてないってのは聞いてないってことだろうが!」
「聞いてたもん」
子どもみたいに口を尖らせた相葉くんと目が合って、2人で笑う。
「...あ...」
相葉くんが足を止める。
「どした?」
「...あの...昨日はごめんなさい」
またぺこり、と頭を下げるから、髪の毛がさらさらと落ちる。
「なんだよ、急に...なにが?なにがごめんなの?」
顔を上げて、ちらり、と俺を見る。
だから、それ、反則だろ。
お前の上目遣い、困るんだよ。
腹の中から何かがぶわーって、広がって、身体中が熱くなる。
なんなんだよ、もう。
困るんだよ、ホントに。
「メールの返事、なんて書こうって考えてたら、返事出来なくなっちゃって...」
あぁ、なんだ。そんなこと...
「あぁ...いや、返事のしようがないメールだっただろ?いいよ、オマエ、来たし」
返事なんかなくたって、絶対来るって思ってたし...
「先輩、絶対待っててくれるって思ってました」
そう言って、くふふって、特徴のある笑い方をした相葉くんの顔をなんでだか、真っ直ぐ見ることができなくて...
「明日も、来いよ?」
相葉くんから目を逸らして、前を向いてそう言った。