教室に戻って、『相葉雅紀』を探す。
探すって言っても目立つから探す必要も無いんだけど。
スマホの画面を見て、ガックリと項垂れたそいつの前に立って声をかける。
「なー、相葉。相葉ってどこ中?」
ばっ!って効果音がつきそうな速さで顔を上げて、俺の顔を見て、しばらくフリーズ。
上目遣いとか、ヤバイ。
マジでかわいいじゃん、こいつ。
「え、えっと...俺、県外」
「あ、マジで?家、遠いんだ?」
「あ、でも、じぃちゃん家が駅の方にあるから、そこから通ってる」
「俺はさー、中学からココなの。よろしくね?」
ちょっと表情が和らいだから、仲良くなれそって思って、前の席の椅子に後ろ向きに座った。
まぁるい目が俺を見てる。
「相葉くんの髪の毛、地毛なの?」
って、俺...なんで『相葉くん』とか呼んでるんだろ。
さっきは『相葉』って呼べたのに...
「あ、うん」
こくり、と頷いただけでも、サラサラと髪の毛が動く。
...触りたい
「いいなぁー、茶色くてサラサラで。俺、ちょー天パだから、羨ましいな...触ってもいい?」
一瞬、え?って顔をしたけど、こくり、と小さく頷いてくれたから、そっと手を伸ばして触れる。
「わ!超気持ちいい!」
つるつる、さらさら。
こんな髪質、羨ましすぎる。
俺、彼女の髪型は絶対サラスト!って、決めてんだ。
やっぱり、いい。
サラスト、最高すぎる。
「あの、松本くん...」
なにやら、恥ずかしそうな顔をした相葉くんが、俺の名前を読んだその時、廊下の方から聞き覚えのある声で『潤』って呼ばれた。
「あ、翔さん」
俺の声と一緒に、翔さんを振り向いた相葉くんに...なんでかまた胸がぎゅってなる。
なんだ?俺?どうした?
なんか、変な病気じゃないだろうな...
「悪ぃ、先輩に呼ばれたわ」
相葉くんにそう言って、席を立った。