「バイタルチェックとリストに基づいた診察をこれから30分置きに2時間。その後は2時間置きに24時間行います。診るのは俺ですが…………イチャイチャするのはほどほどにして下さい。正直それは見たくありません。相葉さんの体力は著しく低下していますので、とにかく無理をさせないで。あ、身体も起こさないで下さい。2、3日は安静に。それからリハビリに入ります」
相葉さんをずっと見つめている櫻井さんに、説明をする。
櫻井さんは、相葉さんを見つめたまま、頷いた。
「脳血流モニターも、つけるのか?」
「はい。念の為、というか、取れるデータはすべて取ります。一番怖いのは不整脈なので...俺もモニタリングはしていますが、櫻井さんの方でも心電図はしっかり見ていていただけると助かります。」
...聞いてんのかな?
俺が怖いって思ってた櫻井さんはどこ行っちゃったんだよって、言いたくなるくらい、甘い顔、しちゃってさ。
「いいですね?」
もう一度、念を押すように聞けば、櫻井さんは、ようやく、俺を見て、頷いた。
「じゃあ、隣にいますから...」
櫻井さんの背中にそう告げて、研究室に戻るおーのさんと連れ立って相葉さんの病室を出た。
病室を出たところで、おーのさんに腕をつかまれて、隣の病室へもつれるようになだれこむ。
「なにすんだよ!あぶねーだろ!」
声を荒らげた俺を、おーのさんは、無言で抱きしめた。
「...おーの、さん?」
「わりぃ、ちょっとだけ...」
チェックリストのホルダーを持っていない方の手で、そっと、その背中を撫でる。
きっと、また...
俺にはわからない、何か、を
おーのさんは、抱えてる。
相葉さんと、マサキが入れ替わって...
それに皆が気がついたのが、1ヶ月前。
マサキの半年間の記憶がなくなって...
相葉さんが目覚めて...
その、次は...
その、先は...?
「俺たちの、信じたい、未来を...信じたらいいんですよね?」
俺の言葉に、腕を緩めて、おーのさんが俺を見た。
「過去は、生きてくるんですよね?」
おーのさんの、瞳を見て、聞く。
おーのさんは、何も言わずに微笑んで、
「じゃ、あとはよろしくね」
って、素早くキスをして、去っていった。