俺が研究している『コールドスリープ』には、マイナス20度まで、温度を下げて完全に凍結してしまう方法と、冷却した培養液を循環させて冬眠状態にする方法の2種類があって、おーのさんが、相葉さんを『コールドスリープ』させた方法は『冬眠』の方になる。
今現在の、培養液の温度は0度。
培養液の温度を少しずつ上げながら、1週間から10日かけて20度まで復温。
その後、1週間ごとに25度、30度、36度まで温度を上げて...
問題がなければ、培養液から出して、復温の作業は終了する。
復温の作業自体は、何度も成功させてきたから、問題は、無い。
ただ、相葉さんが『コールドスリープ』から、目覚めた、初めての人間になるから、後遺症などの症状がどう出るのか、までは分からない。
パソコンを立ち上げて、相葉さんのケースのデータを開く。
『コールドスリープ』された日からのデータを見直す。
酸素濃度は一定。
安定して『冬眠』している。
「『冬眠中の相葉雅紀』の復温作業を開始します」
作業の過程はすべて、保存されるから、作業開始前にコールする。
指が、震える。
大丈夫、相葉さんは必ず、櫻井さんの元へ返すよ。
キーボードを叩いていると、マサキの携帯のGPSの捜索依頼が入る。
マサキ、どこに行ったんだよ。
早く、帰ってこいよ。
「データ入力、完了」
エンターキーを押して、立ち上がる。
後は、数時間ごとの培養液の品質チェック、温度チェック、酸素濃度チェックが主な仕事になる。
「ニノ、お疲れさま」
おーのさんが、デスクに戻ってきて、ふにゃんと、笑う。
その時、松本さんがものすごい勢いで、研究室に飛び込んできた。