「プレゼント、持った
オヤツ、持った…よし」
ガサガサと紙袋を抱えて部屋を出る。
「あ、やべえ、スマホ忘れた」
紙袋を廊下において、部屋に戻る。
「これ、忘れたら大変だ」
研究所から支給されているスマホ。
これには高性能のGPSがついているらしく、
休みの日、動きがないと所在確認が行われ、
もしどこかに忘れたり、
落としたりしようもんなら…
はっきりとは言われなかったけど、たぶん…
取り外しのできない物か、体内にGPSが
埋め込まれるか…どっちかだろう
研究所から、少しでも離れていたくて、
外部のマンションを希望したけれど、
研究所に住むのと大して変わらないかもしれない…
部屋も、車も、全て『支給』という名の監視だ。
追跡装置だの、盗聴器だの、が、そこかしこに
ついているに違いない。
つまり、研究所から逃げ出すことは、不可能。
「ま、見張られて困ることなんてねぇし、
その分いい給料ももらってるしな…」
一人、つぶやいて車に乗り込む。
貴重な休みの日に向かうのは、母さんを亡くして、
独りぼっちになった俺を育ててくれた施設。
「せんせ!」
「和也くん!久しぶりね!」
「あ、かずにーちゃんだー!」
子供たちが寄ってくる。
「お菓子、たくさん買ってきたぞー!」
「わぁーい!」
キラキラ輝く笑顔。
俺のやっていることを知っても
子どもたちは俺に笑ってくれるかな?
「せんせ、アユムは?」
「アユムくんなら、部屋で寝てるわ…」
「アユムにプレゼント、渡してくるな!」
子供たちの間を縫って、建物の奥の部屋へ進んだ。