『確かに生徒と教師という関係ではなくなるので、今までより自由にお付き合いできると思います。ですが、一緒に暮らすのは、私としては時期ではないと・・・』
少しお父さんの顔が険しくなった気がする
『それは、悠恵に対する気持ちが冷めたとか?』
さっきまでとは別人みたいに静かに話すお父さんは見たことないような怖い顔してる
『もちろん悠恵さんのことは好きです。できれば今すぐにでも一緒に暮らしたいと思っています』
うそ?
寝耳に水だよ
『え?そうなの?おーちゃんそんなこと言ったことないじゃん』
『言ったことなかったけど、ちゃんと考えてるんだって』
優しい目で微笑むと、お父さんのほうに向きなおって言葉を続ける
『ですが私としては同棲という無責任な形ではなく、結婚してから、もしくは具体的な時期が決まってから一緒に住みたいと思っています』
さっきまで怖い顔してたお父さんが、少しホッと安心したような表情になる
はじめておーちゃんの口から出た【結婚】って言葉
まだまだ先のことだけど、もしおーちゃんと結婚出来たらいいな・・・なんて思ってた
『悠恵さんはこれから大学に行って就職して、世界が広がっていろんなことを経験します。私よりも素敵な男性と出会うかもしれません。そんな多くの出来事や出会いを経ても私のことを想ってくれるなら、その時は改めてご挨拶に参ります』
おーちゃん・・・
そんな先のことまで考えてくれてたのね
ただ、あいたいな~とか、一緒にどこかお出かけしたいな~とか、そんなことしか考えてなかったよ
『今は結婚やその約束をすることで悠恵さんの可能性の足枷になるべきではないと思っています』
『先生・・・』
ヤダ、お母さんてばなに泣いてんのよ
『どうかこれからも悠恵のこと、よろしくおねがいします』
頭を下げるお母さんに、立ち上がって『こちらこそよろしくお願いします』って同じように頭下げてるおーちゃん
これって、喜んでいいことなんだよね
おーちゃんはあたしといずれは結婚したいって思ってるってことでしょ
突然すぎて、なんだか他人のことみたい
『悠恵、あと2年間サンフランシスコ勤務になるけど、先生に呆れられないように勉強するんだぞ』
『は~い』
結局またお父さんとおーちゃんは飲んで、泊まっていくことになった
『先のことまでちゃんと考えてくれてたの嬉しかった』
あたしのベッドの上で寝っ転がって話してる
『そりゃそうだろ。俺にはお前しかいないんだからな』



