『いやぁ、楽しかったねぇ~』
タクシーだから当然なんだけど、ニノと並んで座っている
あたしの心臓の音、絶対に聞こえているはず
知らん顔で話しかけてくれるけど
もうダメ、早く家に着いてー!
もうダメ、早く家に着いてー!
『…だもんね。って聞いてる?』
『あっ、はっ、はいっ!』
『綾ちゃん、天然でしょ?潤くんに気づかれてても全くわかんなかったみたいだし』
近いよぉ…
そんなに近くで話しかけないで
『本当に気がつかなくて、ずっと内緒にしてたんですけど』
まさかあの部屋を見られていたなんて
本当に思いもしなかった
本当に思いもしなかった
見たってことは、ニノのポスターとかも見たんだよね!?
『あーっ!』
『どっ、どうしたの!』
『あ…何でもないです。ごめんなさい』
まさか本人に
『綾の部屋がニノだらけでさぁ~』
なんて言ってないよね?
潤のことだから大丈夫だと思うけど…
明日、朝イチで潤に口止めしておかなくちゃ
『綾ちゃんホントおもしれぇ』
『そんなことないです、普通ですよ』
『そう?孝之は普通なのに、姉弟と思えないわ』
『もう、ニノってば』
『ねぇ、潤くんのこと潤って呼んでるんだから、俺のこともカズって呼んでよ』
