始めこそ、驚きにほんの少し抵抗は致したものの、すぐ笑みて、腕回し、単衣の背、弄(まさぐ)りて、その手を徐々に下げゆき、細腰を強く引き寄せれば、智の上に潤士郎乗り上げるごと、されど、怯むこと無く、熱き心ぶつける如く、熱きくちづけは度を増し、互いの吐息も溶け、零れ出で、激しく胸震わせまする。


貪る如くに求め合いて、積年の想い満たさんと欲せど、尽きせぬままに唇は離れ、また、再び、どちらからともなく求め、際限がありません。




いつしか、雲は行き、柔らかなる月光の降り、間近に瞳見交わさば、面はゆい心地に、共々に笑い合いてございます。


「智。俺は、いつの頃からか、お前が女子(おなご)であれば良いと、思うておった。ならば、娶ることもできよう、と」

「潤、おいらは、このままで…男同士のままがいい」

「何故?」

「おいら、女子はようわからん。けど、同じ男同士だったら、こうしたら気持ちいいって…」


智の手、語り終わらぬ内に潤士郎が根包み、湯の中で器用に蠢きまする。


「あっ!こら、智!何を…!は、あ…!」

「ほら。だけど、ひとつになる方法がわかんなかったから、一緒に居るだけでいいかって思ってたんだよ。でもおいら、ふたりで凄く気持ち良くなれる方法知ったから…」



そう申すと、潤士郎抱き抱えたまま立ち上がり、大岩の前に連れゆきました。
そこに脱ぎ捨て置いた衣の内より、智が取り出したは、あの、蛤にございました。



「智…?ちょっと待て。それは何だ?どうするつもりなのだ?!」

「これは、固き蕾を解して、無痛にする薬…だったかな」

「固き蕾?!無痛とはどうゆう…」

潤士郎が口は、智の口にて塞がれましてございます。


「…うるさい。おいらに任せろ。ちゃんと試したんだから大丈夫…あっ…」


潤士郎が面、剣呑に曇りましたれど、それは刹那のことにございました。
智を責めるなとの和也が言の葉、思い出したからにございます。




潤士郎は腹を据えました。
互いに求め合う心同じであらば、智がこれ程申すもの、叶えてやりとうなったのでございます。



潤士郎は小さく息吐き、見詰める眼に力込め、頷きました。

その面、焚き火のちろちろ燃ゆる炎に染まりて、緊張の色深く致しておりました。
その有様にも、智、常と変わらぬ緩き笑み浮かべくちづけますと、潤士郎が心もほぐれて参るようにございました。


「ゆっくり…な?今までゆっくりきた。これからも一緒だ。焦ることない…な?」

「ああ。けど、それは俺が申すことぞ」

「ん?そうか?細かいこと気にするな」

「気にするだろ…んん…あっ…はぁ」

智が手は潤士郎の肌の上をゆるりと這い、零れる吐息を熱く致します。