「も一回しよ!」

  二宮の指示で、松本が、大野がまだ触っていない残りの4冊の本を並べた。


  同じ要領で実験が再開される。

  壁に向いて櫻井A、Bが立ち、その後ろに松本、相葉、二宮が立ち、それに背を向けて、大野が本に触る。

  大野が、左端の1冊に手を着いた。ニセ者はしっかりとそれを見た。




「はい。じゃ、匂い嗅いで」

  今までと同じように、櫻井A、Bが、真剣な面持ちで本に鼻を寄せ、匂いを嗅ぐ。


  櫻井Aは、一通り匂いを嗅ぎ終わると、すっと元の位置に戻った。
  だが、櫻井Bは腑に落ちない顔付きで、何度も繰り返し匂いを嗅いでいる。


「どうしたの?翔ちゃんB」
「いや…おかしいんだよ」
「何が?」

  二宮が大野とひっついて櫻井の言葉を待つ。

「いや…全部智くんの匂いがする」
「え?」

  松本が眉をひそめ、相葉が目を円くした。

  二宮、大野の2人は、手を取り合い、顔を見合わせている。



「何言ってんの?智くんが触ったのは一番左端でしょ?」

  櫻井Aが、勝ち誇った顔で言った。



「翔ちゃん!」
「翔くん!」



  二宮、大野の2人は、櫻井Bに飛びついた。

「…えっ?」

  2人の櫻井が顔を見合わせる。

「え?…そっち?」

  松本と相葉はキョトンとしている。



「やっぱ、翔くんは俺のこと愛してくれてんだなぁ…。俺、一生ついてく!」


  櫻井Bの体に頬擦りしながら大野が言った。

「あ…ああ…ありがと…」

  櫻井Bは複雑な表情で身を任せていた。

「ね、ね、ニノ。どうゆうこと?」