窓の外に広がる東京の夜景。不夜城の一角。豪奢なホテルのスイートルーム。

  あれ?これ、さっきの夢の続き?

  バスルームからはシャワーの音。テーブルに並んだ…やっぱりさっきの夢の続き?ヤバくない?

  俺がキョロキョロしていると、バスローブを纏った男の人がタオルで髪を拭きながら出てきた。背は俺と同じくらい。

  やっぱりマツ…ん?でも、なんか肩の辺が…

「翔ちゃん?!」

「ん?何?」

  タオルの下から出てきたのは、翔ちゃんだった。俺はホッと胸を撫で下ろした。

「なんだぁ。翔ちゃんか」

「何?楽しんでる?…夜景見てたの?」

「うん。すっごく綺麗だよね」

「そうでしょ?」

  窓際に2人並んで立った。

「前にさ、あなたに俺の千葉案内してもらったじゃない?」

「はいはい、嵐ちゃんでね。もう、だいぶ前ですけどね」

「それで今日は、俺がお返しに招待して、あなたに心ゆくまでサービスしようと思ってね」

「えぇ。翔ちゃん、そんな、いいのにぃ」

「いや、いや。遠慮なさらずに。心ゆくまで寛いで、満足してって下さいよ」

  何気ない素振りで翔ちゃんが手を繋いできた。思わずそちらを見たけど、翔ちゃんは前を見つめてる。

「あ…あの…」

  声を出してしまったと思った。

  潤んだ瞳の翔ちゃんが体ごとこっちを向いた。真っ直ぐ見つめられて目が離せなくなってる。みるみる翔ちゃんの顔が赤くなっていくのがわかる。

「俺…初めてだから…」

  ちょっと待って!何?!この意味深なセリフ!!

  固まってる俺をよそに、翔ちゃんは恥ずかしそうに下を向いたかと思ったら、上目遣いで俺を見上げ、胸をピッタリ合わせてきた。

  ダメだよ。ダメ!それで顔上げたらひっついちゃうでしょ?!って、ゆっくり翔ちゃんが目を瞑って、だんだんと顎が上がって…

「わーーーっ!!!」

  俺は枕に向かって大声を上げた。

「…夢…だよね…?」

  ベッドの上に正座して、暫く放心状態だった。そりゃそうでしょ。一晩に2回も同じような夢…しかもメンバーとおかしな感じになってるんだから。

  俺はリセットする為に1回熱いシャワーを浴び、パジャマを着替えてから眠った。今度こそ朝まで寝なきゃ。明日も仕事だよ。