好きということの自覚 5 LAST | 櫻葉で相櫻な虹のブログ

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酷い抱き方をした自覚はある。ソファーでの後、ベッドでも繰り返し繰り返し犯 すように抱いた。



そんな風に抱かれたのに気持ちがいいと叫ぶように喘 ぐ翔さんを見て止めることなんて出来なかった。



半端に止められるような理性ならいらないと思った。



俺の名前を何度も何度も呼ぶ翔さんの声は早々に掠れて、俺にしか聞くことのない音になった。



痛い背中には翔さんの爪の痕。



負けじと付けてきたキスマークは翔さんの方が多い。そりゃそうだ、余裕が先に無くなったのは間違いなく翔さんだったんだから。









「おはようございます、翔さん」



まだベッドの中。小さく寝返りをした翔さんを見れば俺を見て薄く目を開けている。



「おはようございます、じゃねぇわ。身体中痛ぇ」


「大丈夫……ですか?」



「大丈夫じゃねぇ。お前のせいだぞ」




不貞腐れたように言うのはこの人の照れ隠しだと知っている。だから捨て台詞のようにそう言ってから枕に埋める仕草はただただ可愛い。




「俺のせいなの?」



「そう、お前のせい」



「翔さんのせいじゃなくて?」




どう考えても翔さんのせいだと思うんだけど。抱く前にはすぐに言えなかった言葉をなぜ今はこんなにもあっさりと言えるんだろう。




「…………それはお前の捉え方次第」



そっか、翔さんがめちゃくちゃに素直な反応を見せてくれたからだ。行為の最中にも誤魔化すことも我慢することもなく、俺から受ける全てのことに対しての反応は今までとは全然違った。






「翔さん」



「なんだよ」



「そんなに気持ちよかったですか?」




まだ枕から顔を上げない翔さんの、綺麗な形をした後頭部を髪と一緒に撫でる。



「……知らねぇ」



その髪を梳きながら耳にかけると見える顎のラインもいい。そして見える耳の色は赤い。




「それなら、質問変えます」




気持ちが良かったかを素直に言えないならこっち。質問を変えるだけ。内容も返ってくるはずの答えも、おそらく同じだと思うから。




「また、あんなセックス、俺としたいですか?」




何度果てても続けた。続けられた。喘ぎまくる翔さんを見て、果てたばかりの体は直ぐにまた熱くなった。




「……お前はどうなんだよ」




なるほどそう来たか。そうだよね、翔さんだもん。だって恥ずかしいんだもんね。質問を変えても答えてくれないかもしれないと考えておくべきだった。




「したいよ?今すぐでもいい」




答えない翔さんの撫でた頭をそのまま赤い耳に唇を付ければ、不意打ちに驚いたのか翔さんが枕から顔を上げた。






「可愛いです。翔さん」



耳だけじゃなくて顔まで赤い。平常心という言葉が良く似合うのは俺以外の前でだけ。俺の前での翔さんはこんな顔もするんだと時々誰かに言いたくなる。




「うるせぇ。つーか、お前まじでやりすぎだからな。そもそもで顔にかけるとか何なんだよ。拭かれんのも擽ってぇし、口にも入るし。マジ、少し考えろ」




あぁ、可愛すぎる。捲し立てる話し方も良い。いつもより少し高い声も好きだと思う。




「自ら、でしょ?あれ。自分から俺の……アレ……舐めてましたよね?」




だから意地悪をしたくなる。いつもよりも一層可愛い翔さんの次の言葉を聞きたくて。




「違ぇわ。入ったの!たまたま!」



「ほんとに?その割にめちゃくちゃえろかったけど?セーブとか無理だったなぁ。あ、その前にさ、口でとかさ。翔さんから。…………まじでちょっと泣きそうになったよ、俺」




意地悪したかったのに、やっぱり俺には無理らしい。だってこの人にめちゃくちゃ惚れているから。



他の人になら簡単に言える言葉を今も言えない。他から見たら大した事のない事でも言えない言葉は多数。だってどうしても嫌われたくないから。




「泣く事じゃねぇだろ、あんな事で」



「泣きますよ。ちょっと感動すらしたからね。だって翔さんから口でって。しかも翔さん、自分のを自分でとか……」



「だぁ!!ストップ!お前……まじで調子乗んなよ!」



「ははっ!あー、マジ可愛い」




柔らかなベッドの上で翔さんの事を思い切り抱きしめれば、ふざけんな、と言うくせに。




「好きだよ、翔さん。もう、めちゃくちゃ、すげぇ好き。ねぇ、俺が翔さんの事ヤバいくらいに好きなんだってちゃんと分かってくれてます?」




こんな時に背中を撫でてくれるこの翔さんらしい優しさは、俺からの愛情の全部が伝わっているからって思っていいんだよね?






「自覚してるよ」



「翔さん?」



「だからお前も自覚しろ」



「え?」



「お前は俺にめちゃくちゃ愛されてる。あんなやばいセックスを許せるくらいにな」




わかったなら風呂入るぞ。と言った翔さんの身体はその言葉を言った瞬間に、嘘みたいに熱くなった。























好きということの自覚




終わり