興奮したのは、されている櫻井君よりもしているオレの方かもしれはい。
ソファーの下に降りて櫻井君の顔が見える位置でしたのは、櫻井君への煽 りのつもりだったのに。
「……や、べぇ……って」
歪む表情も低い声も、時々聞こえる吐息も、その櫻井君の全部に煽 られたのは結局オレだった。
「も……いい」
頭を撫で続ける手は辞めることを望んではいない。我慢するように聞こえる吐息が混ざる声も、そう。
「顔……離して」
本当にやめて欲しいなら自分から離れることだってできるのに。それをしない櫻井君からオレが離れるわけない。
「出ちゃうって、マジで」
同じ男だから分かってる。このまま出したい気持ちと出したら終わるという葛藤と。気を使う櫻井君のことだから、口 に出す事でオレが苦しい思いをすると言う事も考えているのかもしれない。
「いいよ?」
だからやめない。こうやって触れ合う事を拒絶されなかっただけでオレにはめちゃくちゃ嬉しいことで。それは欲を言えばこのまま、なんて思うけど、男のオレにされる事を気持ちいいと思ってくれるだけで、それだけでホントに。
「でも……」
言葉では引かない櫻井君の手はまだオレの頭の上。反対の手はソファーを掴んでいる。体を支える為なのかもしれない。いつからだったんだろう。気付かなかった。
「……可愛」
最初からそれに気付けていれば良かったのにと思いながら、口 とともに添えていた手を逆にしてソファーにある櫻井君の手を上から握った。
飲み込んでから、わざとに唇を舐めた。櫻井君の目を見ながら。
「……エ ロすぎだって」
それを見た櫻井君がオレの腕を掴んで体を引き寄せようとする。
「エ ロいよ、オレ。男だもん」
そのまま腕を掴まれたまま立ち上がって、櫻井君に引き寄せられるままに膝の上に跨った。
「なんなんだよ、マジで」
小さくそう言った櫻井君が、オレを抱きしめながらシャツの上から胸元に顔を埋める。隙間もないくらいに抱きしめるから自分の主張が櫻井君の体に押し付けられるのもそうだけど
「なんなんだろうね」
出したばかりの櫻井君のが全然おさまらない。直後だからしばらくすれば落ち着くと思ったのに、少し時間が経った今もずっとそのまま、変わらない。
「あのさ」
まだ顔を埋めたままなのは照れくささからなんだろうか。抱え込むように抱きしめる櫻井君の頭頂部に何度も唇を付けて、その反応を見るけれど分からない。照れなのかそれ以外の何かなのか。
「なぁに?」
主張がおさまらない櫻井君が今オレに何を言うのか。まさかこの続きを、なんてさすがに言わないだろうけれど。
「あのさ……」
「ん?」
「もう一回」
「……ん」
「もう一回、してくんない?」
埋めていた胸元から顔を上げてオレを見る櫻井君の目は上目遣いなのにめちゃくちゃに雄のそれ。
「いいよ」
照れくささなのかと思っていた胸元にいた数分間は
「俺も、していい?」
これをオレに伝えるための覚悟の時間だったのかもしれないな。