「やっぱりお前たち付き合ってんじゃねーの?」
そいつが言うその言葉は俺たちには当てはまらない。だって俺たちの中でそんな会話をした事なんてないから。
だけど、そう言われて強く否定しない俺は何なんだろう。
男同士で付き合うなんてないだろ、とか、俺たちそんなんじゃねーよ、とか。ハッキリと言っても良いはずなのに。
「付き合ったらお知らせしますんで」
「またかよ、櫻井ギャグ!」
「はは、なんでもありじゃん?」
とりあえず俺は、雅紀の隣に居ることができればいい。付き合うとか付き合わないとか、そんな事を考えた事すらない。それって雅紀の隣が居心地が最高だからなんだと思う。
「雅紀ってさ、女子と付き合いたいとか思う?」
下校中に今日のクラスメイトとの会話を話しながら雅紀に早速聞いてみる。それに雅紀はモテるらしい。
「んー、どうだろ。女の子と付き合うとか考えた事無いなぁ」
「やっぱり?俺もなんだよ。でもさ付き合うとかなったら女子じゃん、相手」
「……んー」
「別に興味ないっつーか。女子と付き合うより雅紀といる方が楽しいに決まってるし」
ってこれは絶対。今まで雅紀といる以上に楽しい相手なんていなかった。どんなに気の合うやつだとしてもやっぱり雅紀が俺の中では断トツだから。
「翔ちゃんはそれでいいの?」
「なにが?」
「だからね、女の子と付き合うとかしなくていいの?いくら仲良くていくら一緒にいたってさ、オレじゃ女の子の代わりにはならないでしょ?」
「女子の代わり?」
雅紀が言う女子の代わりってなんの話だろう。俺の中では、逆に雅紀の代わりなんていないって話になるんだけど。
「えっと……それって天然?」
「は?」
「あ、マジなやつか」
「なんだよ!何の話だよ?!」
雅紀の頭の中が分からなくて、でも分かりたくて。別に流しても良い話なのかもしれないのに食いつく俺に
「だから、こーゆうこと」
今日まで可愛いと思ってきた雅紀がすごく男らしく、俺の腰を抱いて唇を重ねてきた。