守ってる限り、その中でしか物事は起きない

守ってる限り、想像もできないことは起きない


勇気を持って踏み出すこと


繰り返す同じ毎日を変えるのは自分だ


ねぇ、ぼく、呼吸していい?

白と灰色模様の猫ちゃんは聞いてきた

呼吸?どうしてそんなこと聞くの?
もう君、呼吸してるじゃない

白に黒と茶色の模様の三毛猫ちゃんは答えた

そうなんだけどさ、ぼくって呼吸していいのかなって思ったんだ

何言ってんだい
呼吸しないと生きられないじゃない
君が生きてないと、僕寂しいよ

きみが寂しいから、ぼく、呼吸していいんだろうか?

どうしてそんなひどいこと言うの
君は僕が寂しくしてたって構わないって言うのかい

そんなわけないじゃない
ぼくはきみのこと、大事におもってる
だけどさ、ぼく一体だれかに呼吸していいよって言われたかな?って思ったんだ

君、息するの嫌なの?

いやじゃないよ

じゃあ、どうしてそんなこと思うの?

分からないよ

じゃあ、僕は誰にも呼吸していいよって言われてないから呼吸するのやめる

駄目だよ!

どうして?

死んじゃうから!








ねぇ、灰色猫ちゃん

三毛猫ちゃんは灰色猫ちゃんを見つめた

僕は呼吸したいから呼吸してるんだ
なんで呼吸したいって生きたいからさ
なんで生きたいって君と一緒にいたいからだ

駄目だよって言われたって僕は呼吸するね
僕は誰の許可も要らないし
僕は誰の許可だって取らないさ
じぶんで決めるんだ
君と、かけっこしたりお昼寝したりするために呼吸するんだ、僕は

それでも駄目だよって言うやつが居たら、ポコポコってクッキしてやるさ
もちろん、ごめんねって言ってくれたら仲直りするけどね…



灰色猫ちゃんはうつむいた
ぽろりと涙が落っこちた

どうしてきみはそんなに自信があるの?
何か間違ってるかもしれないって思わない?
ぼくは自分の判断に自信が持てないんだ




灰色猫ちゃん、君、もしかして何処かにたったひとつの正解があるって思ってるの?


三毛猫ちゃんは灰色猫ちゃんをぎゅーっとハグした



灰色猫ちゃん、この世界に正解なんてないんだよ…
僕らの選択することが全て正解なんだ
僕たち以外に僕たちが決めたことを間違ってるって言える人はいないんだ
なぜなら、僕たちは〈しあわせ〉を感じるために生きていて、僕たちしか僕たちの〈しあわせ〉を感じることはできないからさ
他の人は誰だって僕たちの〈しあわせ〉を代わりに感じることはできないんだ



もちろん君と僕の〈しあわせ〉も別物さ
僕は君がいつも〈しあわせ〉だったらいいなと思っているけれど、君の〈しあわせ〉を感じることはできないんだ



〈しあわせ〉が正解だとしたらだよ?
その正解を確かめられるのは君しかいないんだ!
だからね、君が〈しあわせ〉だと感じられるならそれが正解なんだよ…




灰色猫ちゃんの大きな目に溜まっていた涙が、ポロポロと流れていく

ぼく、ぼく、
でも、〈しあわせ〉って何か分からないよ
〈しあわせ〉ってどこにあるの?
ぼくにはあまり見えないような気がする
ぼくんとこには〈しあわせ〉が来てくれてないと思う



三毛猫ちゃんは、灰色猫ちゃんの手を握った

君、手が冷たいね
さっき雪の中を僕のところに来てくれたからだね
僕の手、あったかい??

うん、あったかい

ほっとする?

うん、ほっとする

これが〈しあわせ〉だよ

え??

これが〈しあわせ〉なんだ

灰色猫ちゃんは2人の手をじっと見つめた

三毛猫ちゃんは言った

〈しあわせ〉ってのはね、大抵あったかいのさ
そしてちょっとほっとさせてくるんだ
あったかい格好をしてほっとさせてくるやつが〈しあわせ〉なんだ

あったかくてほっとするのが〈しあわせ〉…

そうだよ
だからぬくぬくしたお布団とか
あったかお風呂とか
日向ぼっことか
ホットミルクとか
こたつとか
あれらが全部〈しあわせ〉ってやつなんだ

ぼく、それならよく知ってるんだ…

灰色猫ちゃんは三毛猫ちゃんの目を見つめた

うん、そうさ
君はよーく知ってるはずさ
僕たち毎日〈しあわせ〉に出会ってるね
ねぇ、今度〈しあわせ〉ってやつを一緒に探してみようよ
君の〈しあわせ〉を僕に教えてくれない?

灰色猫ちゃんは下を向いて言った

ぼくもきみの〈しあわせ〉が知りたい

じゃあ、お互いにお互いの〈しあわせ〉ってやつを教え合いっこしよう?
きっと僕らなら沢山教えあいっこできるよ

うん
三毛猫ちゃんの〈しあわせ〉とぼくの〈しあわせ〉が同じだったら、ぼくの〈しあわせ〉はもっと〈しあわせ〉になる気がするよ

灰色猫ちゃんは顔をあげて言った

僕もそう思う!

三毛猫ちゃんは元気になった灰色猫ちゃんの頬についてる雫を拭ってあげた

さぁ涙を拭いて?
そろそろ、イタリア帰りのしろうさぎがやってくるかもしれないから、お茶を用意してあげよう