先日の顔合わせで、俺が探していた「ピアノさん」が「慶應病院の藤原さん」という人だということはほぼ間違いない。

…「ほぼ」というのは万が一の「他人の空似」の可能性も否定できないからである。

ここからどう動くかで今後は変わってくる。

…?

??

???

…俺はどうしたいんだ?

ジャズバーで一度聴いたピアノに圧倒されて、その音の主を探して、何をするつもりなんだ??



「…ぷっ。翔さん駄々漏れ」

「いーですねー、若いってことは」

「なになに?翔ちゃん、なにか漏らしたの??」

「…うるさいなー」




四者四様の反応に我に返る。



「…へ?俺、何か言ってた?」

「えーえ、そりゃもー、盛大に」

ゲーム機から目を離さずにニノが言う。

「ねぇねぇ、翔ちゃん、何を漏らしたの??」

「漏らしてねーよ!」

「だって松潤が駄々漏れだって…」

「駄々漏れなのは、翔さんの心の声」

愉快そうに松潤が笑った。

…けど。

別に相談や報告が必要な事ではないし。



「なんでもねーよ」

少しぶっきらぼうに言う。

そう、何でもない。

どうなりたい訳でもない。


ただ、あの「物凄い勢いでピアノを弾いた人」がどんな人物か少し興味があっただけ。


ただ、あのピアノが耳から離れないだけ。


それだけのこと。