もう一週間前になってしまいました。最近読書のスピードがとみに遅くなり、本が溜まっていて、読書が大変なんです。

 

 先日6月17日(月)の読売新聞の歌壇・俳壇から。

 

 まず、俳句。

 

 「簪(かんざし)も藤なる春日大社かな」。この句の『評』に、「奈良の春日大社が藤の花の真っ盛り。そして巫女たちの簪にも藤の花が揺れているというのである。省略が見事な句だ。この神社は若々しく美しい。」とあります。

 

 「強き意志持ち始めたる植田かな」。「たぎる湯に両手の菜花投入す」。「田の神の揺らすがままに青田風」。「あなたとも君とも言はず父の日来」。

 

 「語らって翼が生えて風光る」。この句の作者は、下松市の女性名の方。きっと、高校生でしょうか。

 

 「麦刈の鎌先止める卵五個」。この句の作者は、熊谷市の男性名の方。「ひまはりのみなうみへむく診療所」。

 

 

 次に、短歌。

 

 「お隣の父娘(おやこ)はげしき口喧嘩がらがらぴしゃん娘出て行く」。この歌の作者は、島根県の男性名の方。「なんだかうまくいかない午後に食(た)ぶ戸棚の奥のとらやの羊羹」。「美しい小鳥が庭に来ているよ父と母とが喜んでいる」。

 

 「あったなあソフトクリームぽっとんと落として母が笑ったことが」。この歌の作者は垂水市の男性名の方。「野菜の名10個言ってと医師命じ必死に答える母かぼちゃのみ」。「灯台は今日も光のラケットで水平線へ夜の壁打ち」。

 

 「殆どが「アッという間」と言うけれどとてつもないぞ米寿への道」。この歌の作者は、習志野市の郷知念里さん。珍しいお名前です。

 

 「夜の窓そっと開けばやって来る何も盗らない風の泥棒」。この歌の作者は、常連の守口市の小杉なんぎんさん。

 

 「蛇行する四万十川を串刺しにして予土線は伊予に入りたり」。この歌の『評』に、「たぶん土佐大正駅から半家駅あたり。蛇行する四万十川を何度も越えて予土線は西へ進む。それを「串刺し」とは面白い比喩です。四万十川の鮎の塩焼きを連想しました。」、とあります。

 わたくしの短い四国赴任期間では、その辺りは行きそびれています。行ってみたいですね。

 

 「田の水が引かれよろこぶ蛙たち読経のごとく一夜鳴きをり」。この歌の『評』に、「うちの寺も夜は蛙の大合唱に包まれます。それがお経のように聞こえるとは、ご功徳でおいしいお米になるかもしれませんね。」とあります。選者は黒瀬珂瀾さん、富山市のお坊さん。

 

 「早苗饗(さなぶり)のをはりしあした白妙の父のふんどし竿にゆれゐし」。この歌の作者は、下妻市の神部貢さん。遠い昔のなの記憶でしょう。「早苗饗(さなぶり)」とは、〘 名詞 〙 田植え始めに神を迎える行事「さおり」に対し、田の神を送る行事。転じて、そのときの飲食行事。田植え終わりの祝い。さなぶりの神事。

 

 「裏金より賭博の方が報じられ葬られゆく事実いくつか」。この歌の作者は、千葉市の女性名の方。この作者のお考えでは、「賭博」は米国の大谷選手の通訳の事件のことでしょう。この作者のお考えでは「裏金」問題の報道が不十分でいくつかの事実が葬られると懸念され、ご不満のようです。わたくし、それらよりも、財政の危機や少子化、少子高齢化に対応する国の備えなどが報じられないことが問題だと危惧しております。

 

 

 今回は、上のようでした。