一週前、1月7日(日)の朝日新聞の歌壇・俳壇メモの続き。

 

 つづいて、短歌。

 

 「妻は泣きわれは視線に文字を打つ午後の病室蝶も鳩も来ず」。この歌の作者は、常連のお病気の長尾幹也さん。この歌の『評』に、「遂(つい)に視線入力機器を使わざるを得なくなった長尾さん。傍らには妻は泣くも、一心に文字を打ち続ける。歌を続けてほしい。」とあります。

 

 「半紙折るように畳に手を置いてなんてきれいなおじぎするひと」。「つくる人売る人買ふ人使ふ人ありてぞ武器に殺さるる人」。「ふるさとの「あやべ」と同じ面積でガザ二○○万綾部市三万」。

 

 「『まだ生きていたのですよ』と読者へのメッセージ代わりの短歌を送る」。この歌の作者は、常連のアメリカの郷隼人さん。たしか、以前は獄中の人。今はどうかフォーロー出来ていません。この歌の『評』に、「久々の投稿作が反響を呼んだ郷隼人氏の自身による挨拶の歌」とあります。 

 郷さんのもう一首。「渡米時の大志破れて短歌あり我には歌の残されしのみ」。

 

 「手をつなぎつながない手のスマホ見る今じゃデートもタイパ重視か」。「本堂で四人の寡婦は歌会す丸ストーブに薬缶をのせて」。「血を流す子ら抱き走る男たちガザの悲鳴が茶の間にひびく」。

 

 「戦闘の再開報じる一面に途中で気付き配達止まる」。「わが家系の言葉遺産は「なんとかなる」冬芽しんしん梅、桃、桜」。「冬芽」は「とうが」。「朝の時告げる鶏ついに無くあまたの烏街路で騒ぐ」。

 

 「がまくんとかえるくんとの友情を読みて小二の教室(へや)あたたかし」。この歌の『評』に、「十一月に他界した詩人・三木卓氏を追悼して、氏の翻訳になる物語「お手紙」(小二の国語教科書に掲載)をうたう。」とあります。

 

 今回は上のようでした。