母の一周忌を終えて、家族の気持ちが落ち着いたので遺品の整理を始めた。
とにかく母の持ち物は膨大だ。
何処に何があるのか、発掘から始めないといけない。
先ずは、母の嫁入り道具のタンスの中身を片付けることにした。
嫁入り道具の年齢は、軽く半世紀越え
母が嫁いだ年数分働いてきた。
経年劣化もあるだろうし、何処かに不具合が起きていてもおかしくはない。
ところがだ、全く何処にもガタがきていない。
多少の色褪せはあっても、桐の箪笥は扉も引き出しも全く問題がない。
流石、職人の技、匠の技。
母から聞いていたが、職人さんへの特別注文の箪笥はこんなに丈夫なのだと感心した。
長い間、大事に使ってきた母に敬意を示して、タンス本体は私が受け継ぐことに決めた。
ただ、中身は流石に受け継げない。
着物以外は私が着れる物がないからだ。
この衣装と下着をどうするか、悩みながら1番上の引き出しを開けて中身を確認した。
そこを見てびっくり
引き出しの3分の一が新品のパンスト
しかも、色とりどり
黒もあれば白もあって…何故に白??と笑ったけど、そう言えば母は若い頃病院に勤めていた。
母が勤務していた病院は、職員が全員白のナース服に白のストッキングだったと朧げながら思い出した。
病院勤務時代のパンストから近年までのパンスト、全て新品が並んでいた。
もしもこれが男なら怪しい趣味?と疑うが、母は純粋に着用目的だったはずだ。
ただ、なんで新品がこんなに大量にストックされているのか。
母のリスのような収集備蓄癖、これは遺憾無くあらゆる所に現れてくれている。
台所も、食器棚もその棚も、押入れも、天袋も、そして箪笥の中身。
新品パンスト山盛りって、お母さん、どんだけ足があるのよ、何本足がある?と心の中で母に突っ込んでみた。
捨てるのも勿体ないけれど、流石に40年近く前のストッキングは使用できないと思う。
使用出来そうな物は私が頂くので勿体ないオバケはでないだろうけれど、大量のパンストが遺品です、というのはどうにも私のツボをくすぐってしまい、片付けながらクスクス笑いが止まらない。
クスクス笑いが止まるのは、食器棚とその横にある倉庫の中を見た後だった。
笑えない、お母さん
これは泣きそうだ。
もしもリスが食器を集めたら、こんなに大変な事になります。
天国のリスに怒るに怒れず、涙目で片付けを続ける家族だった。

