ふぃぃいいいー

 

仕事終わった……

 

 

 

昼飯美味かったんと

 

あの子の笑顔で何とか乗り切った気がするわ

 

 

 

 

片付けも終わったし

 

あとは宿に帰るだけだけど…

 

 

 

 

ん、ちょい時間あるな

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

あー、俺ちょっと飲んで帰っから!

 

あるって帰るわ!

 

 

 

 

 

ま、涼しくはなったし

 

帰りに一時間位歩くのもいいだろ――って

 

まだ33℃あんのか!?

 

 

 

・・・・・・大丈夫か、俺?

 

 

 

 

 

 

ふぃぃいいいい~

 

やっと着いたわ

 

 

――って、あ?

 

今出てきたのは――?

 

 

 

 

「今日も忙しかったねぇ、ひなたぁ」

 

「うん、そうだね、あゆむちゃん♪」

 

「また明日も頑張ろうネ!」

 

「そうよっ、みんな! がんばりましょっ!!」

 

 

 

……ちょうど帰るとこだわ

 

 

邪魔するのも悪いか――ん?

 

オレに気がついた??

 

 

 

たたたたっ。

 

ぺこり。

 

 

「昼間のお客様!

また来店してくれてありがとうございます♪

先程は大変失礼しました!」

 

 

やべ、イニシアチブ取られちまった!

 

 

 

あー

 

 

 

んー

 

 

 

えーと、な

 

 

 

「???」

 

 

いざとなると、ちっと恥ずかしいわ

 

 

 

「あ! ごめんなさい、

ちょっと待っててくださいね!!」

 

 

なんだ、友だち残して店戻っていったけど

 

???

 

 

 

「あの~、お客様?

ひなたにお水かけられた方ですよねぇ?」

 

 

見られてた!

 

ま、当然か

 

 

 

「ヒナは何事にも一生懸命で

それが空回りしちゃうの…っ!」

 

 

あー、わかるー

 

わかるわー

 

その気持ち痛いほどわかるわー

 

 

 

「だから日向さんのこと、

どうか許して上げて下さいネ?」

 

 

大丈夫、大丈夫

 

気にしてないっちゅーの

 

 

 

でもま、三人ともほっとした顔しちゃって

 

俺が因縁付けに来たんと思ってたんかな

 

 

 

ロングの嬢ちゃん

 

小っちゃい嬢ちゃん

 

のっぽの嬢ちゃん

 

 

あんたら仲のいい友だちなんだな

 

 

 

そんなテレなくってもいいって、いいって

 

 

いい友だち持ったな

 

うん

 

 

 

 

――ん?

 

あの子戻って来たけど何もってんかね

 

 

 

「お客様、あの、これ」

 

 

タオルか?

 

ん?

 

ちょっとしゃれた柄してる

 

――ああ! 店の制服と同じ柄だわ!

 

 

 

「今度、お客様が来た時に

渡そうと思ったんです!

私が御迷惑かけちゃったことの

お詫びです!

どうか使ってくださいね♪」

 

 

それ取りにわざわざ戻ったんか…?

 

気にせんでもいいのに……

 

 

 

「今もいっぱい

汗かいてるじゃないですか

涼しいお店の中で

体が冷えちゃって

風邪でもひいちゃったら

大変ですよ?

遠慮しないで使ってくださいね♪」

 

 

あ、ああ

 

それじゃあ、うん、貰っとくわ

 

 

……そんなに汗かいちまってさ

 

俺より嬢ちゃんが使ってほしいわ……

 

 

「いいえ、どういたしまして♪

こちらこそありがとうございます♪」

 

 

とんでもない!

 

 

――あのな、俺な、客としてきたんじゃないんだわ

 

 

「はい??」

 

 

――水ぶっかけられた俺がこんなこというのもあれやけど

 

 

 

あんがとな!

 

おかげで仕事頑張れた!

 

 

それだけ伝えに来たんだわ

 

 

 

「えへへッ、

ありがとうございます♪

私、やっぱりこのお店で

アルバイトして良かったです!」

 

 

『そそ、その笑顔が見たかったんだわ』

 

ってさすがに言えんわな

 

 

めちゃ恥ずかしいわ~!

 

 

 

 

「お客様の

またの来店をお待ちしていますね♪

それじゃあ失礼します♪♪」

 

「「「失礼しまーす!!」」」

 

 

 

ああ、またな!

 

必ず行くわ!!

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

ごめんな

 

最後で嘘ついちまったわ

 

 

 

 

アルバイト頑張んなよ

 

俺ももうちょっと今の仕事頑張ってみるわ

 

 

それは嘘じゃないわ

 

うん、嘘じゃない

 

 

 

 

 

じゃ、学生の時思い出して走って帰っかね

 

あの夕日が沈む前にってことで

 

 

ちょっとカッコいい

 

今俺、走れメロス説!

 

 

なんちて!

 

 

 

 

 

 

 

――あ、コンビによってビール買ってこ

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

まだ包みに入ったまんまのあん時のタオル

 

 

 

また近くで仕事あったら

 

そん時には首にかけていくから

 

あん時のこと思い出してまた笑ってくれると嬉しいわ

 

 

そん時には遠慮なく

 

水ぶっかけてくれてもいいから

 

って

 

俺ってなんてジェントルボンバー説!

 

 

 

~お・わ・り~

 

 

 

 

 

 

 

秋さんのブログの記事

「ファミレス来た」

 

 

 

このコメントのやり取りから

このお話が生まれました

 

ありそうでなさそうなお話だけれど

 

長い人生の中でほんの一瞬交差した

人生の中のワンシーン

ということで

書き下ろさせて頂きました

 

秋さん

ありがとう♪

 

 

あむるむぅんでした♪