令和2年のサラリーマンの平均年収が433万円と発表された。前年度から3万円の減とのことで、特に賞与の減少が響いたそうである。

 注意しておかないといけないのは、この値は正規職員と非正規職員の混合で、両者にかなり差があることである。

令和元年のデータでいうと、平均436万円、男子正規561万円、女子正規389万円、男子非正規226万円、女子非正規152万円である。平均年齢47歳である。

 

 ここ30年の平均年収は400万円台で大きな変化はなく、バブルの頃は400万円台の後半だったが、それ以降は400万円台の前半である。後進国らしい給与であり、OECD35カ国の中では24位と平均以下である(2019年)。日本の給与は低迷しているが、他のOECD国は段々と上昇していっているので、順位は落ちる一方である。

 

 その上、男女格差は大きい。OECDでは2番目に格差が大きいそうである。

 

 さて、この給与でやっていけるのであろうか。

まず、非正規だと一人の生活で精一杯であろう。ワーキングプアが問題になっているのは、ご存じの通りである。

 

 正規職員男子の560万円ではどうだろうか。税金や年金・健康保険の掛け金を引くと450万円くらいだろう。40代半ばで、4人家族として自身の保険や住居費、光熱費、通信費、食費を引くと、残りは多くても150~200万円くらいと言ったところか。アパートでなく持ち家のローンがあれば、もう少し少ないかも知れない。

 

高等教育費がかなり問題

 

 40歳代半ば以降は最もお金のかかる時期で、これは教育費が響いてくるからである。私立の中高に入ると、100万円弱かかる(ようである)。大学で一人暮らしをすれば、学費と仕送りで、250万円(国立だと200万円弱)くらいかかる。即ち、500万円程度の収入では、地元の国立がせいぜいとなってしまう。

 最近は給付金型の奨学金もあるが、年収270万円程度までの世帯なので、対象外である。(300万円台でも1/2補助、1/3補助はあるようです)

 貸与型はただの借金で、後で借金取りに追われることになるかも。

 

 子供二人を、大学に送り出し、都会で一人暮らしをさせると、私立で4年間1000万円、国立で800万円かかる。これで大学院まで進むと修士だけで1.5倍となる。なので、親は子供が二人いれば、大学だけで2000~3000万円を用意しておかなければならない。

 これでは、複数の子供を持とうとする若い人はいなくなるであろう。

 

 解決法を提示するのは難しくない。具体化してどう実行するかが難しい。

解決法は経済復興して給与を上げること。そのためには、イノベーションを起こし、資金を教育、設備に投資することである。大企業の経営者にはイノベーションは期待できない。

 実のところ、日本の若い人にはイノベーションを起こそうとする気運を感じている。まずは、その裾野を広げるため教育に投資することが政治の役割かと思う。

 30年かけて日本は凋落したので、その再興には30年かけて臨むべきと思う。移民という複雑な問題も絡むが、そのために政治が必要である。