私が大学生の頃に、パソコンが発売された。

NECのPC8000シリーズが最初で、後継のシリーズや富士通のFM8も発売された。

 もちろん買う余裕はなかったが、研究室には一台おいてあった。私は、それをゲームでしか使ったことがなかった。誰が作成したのか、ゲームプログラムがあって、フロッピーディスクに保存されていた。当然インターネットという概念はなく、研究室にLANが張られるのは1990年代になってからだと思う。

 

 なお、パソコン以前にはマイコンというのがあって、TK-80というボードにキーがついたのも売られていた。どう使うのかよく知らなかったが、練習用キットだったらしい。

 その他には、小さなモニタがついたPETというパソコンが発売され、いかにもマニアっぽい感じがしたものである。1980年代前半頃には、廉価なFM7やPC6001シリーズが発売されて、学生にも手が出せる価格になっていた。ただし、自分でプログラムを組んで計算をさせるというような使い方が主流であった。

 

 後は、パソコンゲームも販売されていて、結構な値段だったようである。レンタル用のフロッピーディスクが置かれている店があって、一緒にプロテクト破り用のフロッピーもレンタルされていたようである。私は利用したことがなく又聞きなのであるが・・・。

 

 大ヒットしたPCはNECのPC9800シリーズであろう。これは、1982年に発売されたが30万円くらいして結構高かった。当然HDは内蔵されて居らず、フロッピーディスクから読み込んでいる。モニタ(当然ブラウン管)も当時は高かった。

 なお、1980年代半ばで、内蔵HDの値段は40MBで40万円くらいしたように思う。プリンタはエプソンのが多かったように思うが、インクリボンを使った方法だった。ギギギギと音がするので、いかにも計算しているような気になったものである。

 

 就職して自分の仕事専用にパソコンを買ったが、主な用途はワープロであった。当時、専用のワープロ(たとえば文豪とか書院)が売られていたが、パソコン+ソフトウェアの方式に代わっていった。

 当時は一太郎の独占状態で、これはその日本語変換ソフトATOKによるものであろう。当時の辞書は、1.2MBのフロッピーディスクの中に入っていて、それをディスクドライブがいちいち読みに行っていたのである。今のATOKは何百メガバイトあるのか知らないが、1.2Mバイトで事足りていたことが驚異である。

 

 なお、当時は一太郎全盛の時代であるが、多分私が使っていたのは、コピーだったように思う。今では完全にアウトであるが、当時は違法コピーに対する遵法意識が余りなかった。

 

 パソコンゲームは1990年前後、いいのが出だした頃である。日本ファルコムのイースはよくやったものである。また、プリンスオブペルシアもやって、その独自の動きやアクションに結構はまった。その他では、森田将棋というのがあって、そこそこ強かった記憶がある。これらも、フロッピー1枚のソフトウェアであった。

 

 PC98シリーズのOSはMS-DOSであった。これはコマンド入力型で、WindowsのGUIに馴れた人は、こんな時代があったとは思いもしないかも知れない。日本語入力できるDOS/VというOSもあり、外国製の安いパソコンに導入でき、NECの独占だった市場も崩れてきた。

 

 そして、Windowsが出たのが、1990年だった。私はWindows3.1が導入されたNECパソコンを使ったのが最初であるが、当時、アップルのMacを堂々とマネしたOSという認識だった。

 Windowsの大ヒットは95からであろう。98と続いていく隆盛は、誰でもご存じの通りである。

 

 appleのmacintoshのOSは、GUIで行うもので、全く画期的だった。作業画面を幾つも出させて同時に操作できる。カットアンドペーストというのも、この作業環境のおかげである。

 私がいた研究所でも、Macが大流行した時期があった。というのも、研究の資料作りで、図を書いて文書に貼り付けたりするのがかなり便利であったからで、それ用のソフトも充実していた。

 

 でも、199年代、Macは高かった。私はclassicを個人で買ったが、IIにアップグレードしたりメモリを増やしたりしたら40万円くらいになった。上位機種のIIciをモニター付きでそろえると100万円近くなったのではなかろうか(1990年頃)。

 windowsでも同じような作業ができるようになり、また周りもwindows派が増えてきたので、私もwindowsを使っている。

 

 今はインターネットと普通にいっているが、それ以前は通信にはどうしていたか知っているだろうか。

 

 電話回線を使っていたのである。Niftyは元々パソコン通信をサービスする会社だった。会員同士が書き込むコミュニティが幾つもあったのである。今となっては、こんなのを知っているのは40代、50代くらいであろう。

 

 インターネットは1990年代にはあったが、爆発的に発達したのは2000年代になってからである。初期の頃インターネットに有益な情報はないと言われていた時期もあったが、もうネットのない時代は考えられないくらいに普及してしまった。

 

 30年後にはどんなサイバー空間になっているであろうか。おそらく想像できないイノベーションが起こっているだろうと思うが、私はもういないかなあ。サイバー空間にデータ人間としているかも知れないが・・・。